文化庁若手アニメーター育成業「あにめたまご2019」 手描き2作品、3DCGも2作品

アニメーター

 2010年度から続く、文化庁の若手アニメーター等人材育成事業が今年で9回目を迎える。運営団体を社団法人 日本動画協会が受託するようになって5年目だ。
 日本動画協会は2018年6月22日に、プロジェクトを「あにめたまご2019」と名付けて、中心となる受託団体、アニメーション制作スタジオ、そして作品を発表した。各スタジオは20分あまりのオリジナル作品を10ヵ月程度かけて制作するなかで、アニメーターを中心とした若手スタッフの人材育成を目指す。

 制作作品は、これまでに引き続き4作品。制作スタジオは2社がチームとなった企画があり、5社となっている。作品タイトルはいずれも仮題で、WIT STUDIOの『ハローウィーゴ!』、日本アニメーションの『チャックシメゾウ』、Fliying Ship Studioの『キャプテン・バル』。『スペースアテンダントアオイ』は、ケイカとグリオグルーヴが2社共同で手がける。また監督と各制作チームをまとめるプロデューサーも発表されている。
 もともと若手アニメーター等人材育成事業は、手描きアニメーションのアニメーター育成を目的にしてきたプロジェクトである。しかし近年はCGアニメの役割が増していることもあり、CGスタジオも参加するようになっている。昨年度も新進のスタジオが多かったが、今年度は『キャプテン・バル』と『スペースアテンダントアオイ』の2作品が3DCGと前年度に続き半分を占めた。

 若いスタジオが多いのも特長である。2016年度に続き今回で2回目となる日本アニメーションこそ老舗だが、他のスタジオはアニメーション制作の歴史は決して長くない。プロジェクトはアニメーターなど作り手の育成を目的にしている。一方で新進スタジオや中小のスタジオでは、スタッフ育成のノウハウが必ずしも共有されていないこともあり、スタジオがアニメーター育成のノウハウを学ぶというのもプロジェクトの隠れた効用だろう。

 各作品の制作予算は、上限3800万円。オープニングとエンディングを含め21分30秒から24分以内、総カット数350カット程度、総動画枚数1万枚以上2万枚程度までの作品を制作する。
 6月からプリプロダクションを開始して、2019年2月には完成・納品をする。完成した作品は3月に試写会や上映、テレビ放送などを通じて成果を披露する。

文化庁委託事業 平成30年度 若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2019」
主催:文化庁  事業受託:一般社団法人 日本動画協会

[制作概要]
株式会社WIT STUDIO
『ハローウィーゴ!』(仮)
監督:益山亮司/プロデューサー:岡田麻衣子

株式会社ケイカ・株式会社グリオグルーヴ
『スペースアテンダントアオイ』(仮)
監督:由水桂/プロデューサー:山中友実子

日本アニメーション株式会社
『チャックシメゾウ』 (仮)
監督:西山映一郎/プロデューサー:山下裕文

株式会社Fliying Ship Studio
『キャプテン・バル』(仮)
監督:沼口雅徳/プロデューサー:中島弘道

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