2018年6月11日からフランスで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭で、日本の存在感が昨年以上に大きくなりそうだ。すでにオフィシャルコンペの上映作品や特別上映、「Working in progress」、塩田周三氏の基調講演などが発表されていたが、日本関連の新たな企画が相次いで発表されている。
著名クリエイターが自身の創作について語る「Master Class」に、昨年『夜明け告げるルーのうた』で長編部門クリスタル賞(グランプリ)受賞の湯浅政明監督が再び姿を見せる。「Masaaki Yuasa: Making New Waves!」のセッションには湯浅監督のほか、サイエンスSARUのプロデューサーであるチョイ・ウニョン氏、脚本家の吉田玲子氏の登壇が予定されている。セッションの説明には新作長編映画についても語るとしており気になるところだ。
吉田玲子氏は『夜明け告げるルーのうた』、そして本年長編部門のコンペティションに選ばれた『若おかみは小学生!』の脚本も手がけている。
人形アニメーションの大家・村田朋泰監督の特集上映、高畑勲監督の『セロ弾きのゴーシュ』、さらに宮崎駿監督『となりのトトロ』、今敏監督『千年女優』の上映もある。
このほか日本関連のプログラムには、行政の支援するものも多くなっている。
まずは今年3回目となる「MIFA東京都ブース」だ。都内のアニメーション制作者とその作品を見本市会場(MIFA)で紹介し、ビジネスマッチングを実施する。また期間中は海外のビジネス関係者に向けたピッチセッションも予定する。
2018年の支援対象は昨年よりひとつ多い5団体5作品。ゼリコ・フィルム『アラーニェの虫籠』、Tomovies『水の大地‐Water Ground‐』、Twi-flo『クラユカバ』、ヌールエ『のら猫クロッチ』、Volca『ボーカルボルカちゃん』となる。
6月13日には、文化庁の若手アニメーター育成プロジェクトで制作された「あにめたまご2017」の4作品が上映される。『ちゃらんぽ島(ランド)の物語』(スタジオコメット)、『RedAsh -GEARWORLD-』(スタジオ4℃)、『げんばのじょう-玄蕃之丞-』(日本アニメーション)、『ずんだホライずん』(ワオ・コーポレーション+スタジオ・ライブ+SSS合同会社)である。海外で「あにめたまご」の作品がまとめて上映される貴重な機会だ。
さらに期間中は、文化庁メディア芸術祭や、その受賞作品の紹介も予定されている。世界最大のアニメーション映画祭で、日本作品を積極的にアピールする。
また13日午後には、日本と海外と国際共同製作をテーマにしたセミナーも予定されている。「Emerging Opportunities for International Co-production with Japanese Animation」と題しており、近年様々に変化する国際共同製作を語る。
ゲストには英国のマンガ・エンタテイメントのジェローム・マザンダラニ氏、カナダのサンブリッジの山口晶氏らを迎える。
オフィシャルコンペの『未来のミライ』の細田守監督、『若おかみは小学生!』の高坂希太郎監督、『B: The Beginning』の中澤一登監督、各企画で『ラディアン』の岸誠二監督、『ペンギン・ハイウェイ』の石田祐康監督/新井陽次郎氏(キャラクターデザイン)らが、映画祭に登壇することがすでに明らかにされている。
作品の作り手も多く現地を訪れるため、日本のアニメーションに対する関心の盛り上がりが期待できそうだ。
アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/home