サイバーエージェントが30億円アニメファンド ゲーム化権獲得とオリジナル企画を目指す

ファイナンス決算

 IT大手のサイバーエージェントが、アニメ事業のさらなる拡大を目指す。2017年6月8日、アニメ製作投資を目的とするファンドの組成を発表した。
 「CA-Cygamesアニメファンド」と名付けられたファンドの資金規模は約30億円。サイバーエージェントのほか、同社の連結子会社でゲーム事業のCygamesが出資する。6月中にも立ち上げる予定だ。ファンドを通じて、アニメ事業の拡大を目指す。

 ファンドの出資対象は、アニメIP(知的財産)への投資としている。製作委員会への出資やオリジナル企画の製作も予定する。サイバーエージェントはこれまでも、『ユーリ!!! on ICE』や『この世界の片隅に』などに製作出資をしてきた。今後はファンドがこうした役割を担うことになりそうだ。
 ファイナンス業界から見れば30億円の資金は、投資ファンドとして小規模かもしれない。しかし、テレビシリーズが1クール(3ヵ月)で2、3億円、劇場映画が1作品数億円程度が多いアニメ業界では少なくない金額だ。多様な作品に出資が可能となる。

 インターネット事業の大手のアニメ事業参入は、ひと昔前であれば違和感があった。しかし、ソーシャルゲーム、ゲームアプリを通じて、IT企業は急速にアニメ業界と緊密になっている。人気ソーシャルゲームのメディアミックスでの利用のひとつとして、積極的にアニメ化されるようになっているからだ。
 利益率の高いソーシャルゲーム企業の豊富な資金がアニメ業界に雪崩込み、近年のアニメーション制作増加の理由のひとつになっている。

 なかでもサイバーエージェントグループは、これまでもアニメに積極的に関わってきた。Cygamesは2015年にアニメ事業部を立ち上げ、自社の人気ゲームを原作に『神撃のバハムート』を単独出資で製作した。2016年にはアニメーション制作のCygamesPicturesを設立、背景美術の草薙を子会社化と、出資から制作までアニメ事業のフルラインを構築しつつある。
 現在放送中の『GRANBLUE FANTASY The Animation』や『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のように、自社人気ゲームのアニメ化が、ゲームの認知度拡大につながる面もある。さらに製作出資では、人気アニメからのゲーム化、アニメとゲームの同時展開なども視野に入るだろう。
 ゲーム連動だけでなく、サイバーエージェントではアニメの番組利用も活発だ。テレビ朝日と共同運営するインターネットテレビAbemaTVでは、アニメが有力コンテンツである。ファンドがゲーム化窓口権の取得だけでなく、オリジナルアニメ企画を掲げるのは、ここに理由があるだろう。近い将来はアニメファンドから、インターネット独占タイトルが飛び出す可能性もありそうだ。

「CA-Cygamesアニメファンド」概要
ファンド総額: 30億円(予定)
2017年6月中組成(予定)
主な投資対象: アニメIPへの出資(ゲーム化窓口権の取得)、オリジナルアニメ企画

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