長年ピクサー・アニメーション・スタジオとディズニー・アニメーション・スタジオのクリエイティブを統括してきたジョン・ラセター氏が、2018年6月8日に両社を退社すると発表したことは映画業界に大きな衝撃を与えた。多くの人の懸念は、数多くのヒット作を生み出してきたジョン・ラセター氏に代わる人材がいるのかだ。
そうしたなかでウォルト・ディズニーは、19日にディズニー・スタジオとピクサー・スタジオの新たなチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を発表した。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのCOOにはジェニファー・リー氏、ピクサー・アニメーション・スタジオのCOOにはピート・ドクター氏を決定した。これまでラセター氏が2つの役職を兼任していたが、今後はスタジオごとになる。
ピクサー社長のジム・モリス氏、ディズニー社長のアンドリュー・ミルスタイン氏は続投となる。ウォルト・ディズニー・スタジオのアラン・ホーン会長が全体を統括する。
新しいCOOは、いずれも各スタジオの監督として大ヒット作を世の中に送り出してきた。ラセターに続き、ヒット作を創り出すクリエイティブの能力を重視した。
ジェニファー・リー氏は、ディズニーには2011年入社と社内でのキャリアは短い。しかし『シュガー・ラッシュ』の脚本を担当した後、世界的大ヒット作『アナと雪の女王』の監督で一躍名をあげた。現在は『アナと雪の女王』の続編に取り組む期待の星だ。
一方ピート・ドクター氏は、ピクサー初期からの数少ない社員のひとり。1990年より数多くのクリエイティブ創出に関わり、28年間ピクサーと共にあった。代表作の『カールじいさんの空飛ぶ家』『インサイド・ヘッド』『モンスターズ・インク』の監督でお馴染みだ。アカデミー賞長編アニメーション部門を2度受賞している。エンタテイメントたっぷりで観客をほろりと泣かせながら、作品の裏に社会的なメッセージも潜ませるのが得意だ。
前任のジョン・ラセター氏は、ピクサーの創立時のメンバーのひとりだった。同社がディズニーに買収された際に、ピクサーとディズニー、それにディズニー・トゥーンの3つのアニメスタジオのCCO、さらにディズニーのテーマパーク部門のクリエイティブ・アドバイザーを務めることになった。
しかし、2017年11月に従業員に対する不適切な行為を理由に自ら休職。休職から復帰することなく、退社の道を選んだ。今後は、新しいクリエイティブへの挑戦にフォーカスするとしている。