国立美術館を運営する独立行政法人国立美術館は、2018年4月に新たに「国立映画アーカイブ」を設立する。2月6日に発表した。独行政法人の 6番目の組織で、日本で唯一の国立の映画専門機関となる。
独立行政法人国立美術館は、現在は国立西洋美術館、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館、国立新美術館の5つの美術館で構成されている。このうち東京国立近代美術館は、本館、工芸館、フィルムセンターの3部門を持っている。ここからフィルムセンターが独立するかたちだ。
もともとフィルムセンターは千代田区竹橋の本館、工芸館とは異なり、中央区・京橋に独自の展示施設・研究施設を構えていた。さらに神奈川県相模原市に分館を持つなど独立性が高かったこともあり、利用者にとってはあまり大きな変化はなさそうだ。
国立映画アーカイブの館長には、映画史・フィルムアーカイブの研究家で映画評論家の岡島尚志氏が就任する予定だ。また外部からアドバイザーとして、岡田裕介氏、奥田瑛二氏、河瀬直美氏、新藤次郎氏、長瀬文男氏、堀越謙三氏、松坂慶子氏、山田洋次氏といった監督や俳優を含む映画関係者8人が参加する。さらに産学関係者からなる機能強化会議(仮)の設置も予定している。
運営については、民間資金の活用も掲げている。日本の映画文化振興のためのナショナルセンターとしての基盤強化を目指すことになる。今後、さらなる活動の拡大も期待される。
東京国立近代美術館フィルムセンターは、1952年に国立近代美術館の映画部門としてスタートした。1970年にフィルムセンターを開館。さらに1995年のリニューアル経て、映画の美術館、研究施設の陣容を整えた。
センターの役割は映画の収集・保存、さらに公開である。また映画資料の展示や上映会、講演に加えて、古くからフィルムのかたちでの作品保存に力をいれている。今では貴重となった作品のフィルムも数多く所蔵する。
アニメーション分野については、かつては収集・研究は遅れていたが、現在は徐々に力を入れ始めている。戦前・戦中の作品を中心にフルムを修復し、「日本アニメーション映画クラシックス」としてインターネット上で無料公開もしている。また、今回新組織の設立に合わせて公開された映像は、アニメーション作家の山村浩二氏が制作した。組織の基盤強化と共に、アニメーション分野での活動も期待される。
独立行政法人国立美術館 国立映画アーカイブ
(National Film Archive of Japan(略称 NFAJ))
http://www.nfaj.go.jp/
2018 年4月1日設置