2000年代以降、アニメやマンガ、ゲーム、特撮をカルチャー分野のひとつとして、研究・保存していく流れが生まれている。美術館や博物館でこうしたジャンルの企画展や研究も一般的になってきた。
国や国立美術館も、こうした動きに対応しだした。2020年2月26日、東京・六本木の国立新美術館にて、今夏開催される「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」の発表会が開催された。本展は近年世界で注目されている日本のポップカルチャーにファーカスした展覧会だ。主催は文化庁、日本芸術文化振興会、国立新美術館だから、まさに国全体で後押しするかたちだ。
発表会では国立新美術館長の逢坂恵理子氏が、主催者代表として挨拶した。本展が2018年にフランス・パリのラ・ヴィレットで開催された「MANGA⇔TOKYO」展の凱旋展、日本バーションであることを紹介、そのうえで「極めて身近な文化を展覧会でどう展示するのか」といった課題と取り組みの意義を語った。
開催にあたっては、インバウンド効果も意識されている。展覧会は7月8日スタート、開催期間は7月24日からの東京オリンピック・パラリンピックのスケジュールと重なる。来日した海外の人々にも、日本カルチャーの側面を見てもらいたいというわけだ。
さらに国立新美術館 主任研究員の真住貴子氏と、ゲストキュレーターで明治大学国際日本学部准教授の森川嘉一郎氏が登壇。企画展の経緯と内容を説明した。
国立美術館でアニメ、マンガ、ゲーム、特撮というと唐突感があるかもしれない。しかしこれは突然始まったものではない。
真住氏によれば、スタートは2015年にやはり国立新美術館で開催され、神戸、ミャンマー、タイへも巡回した「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」に辿ることが出来る。これは国立美術館が本格的にアニメ、マンガ分野に取り組んだ初の総合展覧会となった。その後は国内では2016年の「新海誠」展、2017年の「荒木飛呂彦 JOJO冒険の波紋」展、海外では先の「MANGA⇔TOKYO」、2019年の大英博物館「The Citi Exhibition Manga」展を経て、今回の「MANGA都市TOKYO」となった。
森川氏によればパリでの展覧会の当初より国内展も念頭にあったとし、展示の内容もほとんどこれを踏襲した。巨大な1/10000東京の模型をはじめ、パリッ子たちを驚かせた数々の展示をライブに体験することが出来そうだ。
展覧会は「キャラクターと都市が溶け合う東京」というテーマを持っている。日本の作品は具体的な場所が描いていることが多く、それは作品の単なる背景ではなく、現実とフィクションが相対関係にあるという。マンガやアニメにあるものほど記憶にとどまるというわけだ。
そうした現実と虚構のハイブリッドが今回はあぶりだされる。展示される作品もその観点から選ばれた。単純に東京が舞台であることだけが理由でない。会場に登場するのは90タイトル以上、『AKIRA』、『エヴァンゲリオン』、『STEINS;GATE』、さらに『あしたのジョー』、『To-y』、『東京エデン』、『ゴジラ』……と幅広い。見応えたっぷり、そして虚構と現実の新しい視点を感じることが出来そうだ。
MANGA都市TOKYO
ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020
2020年7月8日(水)~9月22日(火・祝)
https://manga-toshi-tokyo.jp/