2019年末に、米国の映画界が待望してきた米国アカデミー映画博物館(The Academy Museum of Motion Pictures)が完成する。ハリウッドの中心地に位置する博物館は映画芸術と歴史を展望する。総工費400億円超をかけた大型施設だ。
開館まで1年足らずとなるなか、計画を進める米国映画芸術科学アカデミーは開館と同時開催する大型企画展を発表した。日本のアニメーション監督の宮崎駿にフォーカスしたものだ。
宮崎駿の仕事を本格的に紹介した展覧会は、米国では今回が初。企画展にあたっては、博物館の学芸員のジェシカ・ニーベルがキュレーションをし、長年宮崎駿監督の映画を制作してきたスタジオジブリが協力する。
会場は4階に設けられたマリリン&ジェフリー・カッェンバーグギャラリー。『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』といった作品の映像や、スタジオジブリ所蔵の制作素材、資料を使い、宮崎駿監督の映画世界とテーマを探る。
展示資料には200点を超えるコンセプトアート、キャラクターデザイン、ストーリーボード、レイアウト、セル画、背景ほかが含まれる。また会場ではスタジオジブリグッズも販売される予定だ。
こうなると米国在住でなくとも出かけたくなるが、企画展は発表されたが博物館のオープニングは2019年末とだけで正式な日付は明らかにされていない。一番に訪れたいと思うファンには、まだスケジューリングは難しそうだ。
しかし「宮崎駿展」後の企画展示がすでに決まっている。「再生:黒人映画1900-1970 Regeneration: Black Cinema 1900–1970」で、2020年秋からスタートとしている。これから判断すれば、「宮崎駿展」はおよそ1年近く続くとみてよさそうだ。
米国アカデミー映画博物館は、アカデミー賞の選定でもお馴染みの映画芸術科学アカデミーが主導する大型プロジェクトだ。百貨店であった歴史的な建築を大幅に改装、それをレンゾ・ピアノ設計の新棟が取り込む斬新なデザインとなる。常設展示にはハリウッドを彩った数々の映画資料があり、さらに映画のライブラリー保存、研究もする。
長年計画が進められてきたが巨額のプロジェクト予算、そのほとんどを寄付に頼ることもあり、資金不足で完成が遅れていた。当初完成予定は2016年としていた。しかしオープニングの企画展決定と合わせて、2019年末の開館は間違いなさそうだ。