ブシロード通期決算 TCG快調で売上増もモバイルゲーム苦戦・未達で減損計上

ファイナンス決算

 エンタテイメント企業のブシロードは、2023年8月14日に2023年6月期通期決算を発表した。連結売上高は487億9900万円と前年比で16.3%増と大きく伸びたが、利益面ではマイナスとなった。営業利益が33億8500万円(0.1%減)、経常利益45億300万円(11.9%減)、当期純利益が20億5000万円(41.5%減)だ。
 主力事業のTCG(トレーディングカード)が国内外で絶好調だったの対して、デジタルコンテンツ事業のモバイルゲームが苦戦し、減損損失を強いられた。コロナ禍をくぐり抜けたスポーツは復調傾向で売上を伸ばした。ライブエンタテインメントは回復途上だ。

 TCGユニットは売上高227億1600万円で、前年比48パーセントと大幅な増収だ。過去最大の売上げで、ブシロード全体の売上全体の半分に迫る。なかでも好調だったのが『ヴァイスシュヴァルツ』で、シリーズ単体で売上高は100億円を超えた。
 海外市場の成長もトピックだ。日本語版の海外売上げが前年の20億7300万円から30億2500万円に、外国語版の売上は41億2400万円から44億9600万円に拡大している。合わせて75億円が海外での売上げになる。2023年6月からは大型タイトル『Shadowverse EVOLVE』の英語版の展開も開始している。ブシロードが注力する海外展開の鍵となりそうだ。

 デジタルコンテンツユニットの売上高は83億6500万円、前年比19.2%の減少となった。モバイルゲームで『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』の大型アップデートを実施、また『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』をリリースした。
 しかし、これらが当初見込みの売上に達さず、また『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』、『ヴァンガード ZERO』のサービスを終了したことで売上が落ち込んだ。
 『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』と『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』では制作投資を12ヶ月で、毎月均等して償却する予定としていた。しかし両タイトルともリリース後に、想定していた収益を見込むことができなかった。そこで資産残高6億7500万円を一括で減損損失として計上した。今期以降は、開発規模1億円ほどコンソールゲームにより大きな力を入れるなど、デジタルコンテンツユニットの事業再構築を目指す。
 
 新日本プロレス、女子プロレス「スターダム」も好調だった。スポーツ&ヘルスケの売上高は69億7400万円(24.6%増)。新日本プロレスリングの国内の観客動員が引き続き回復傾向にあること、配信サービス「新日本プロレスワールド」が伸びているのが理由だ。

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