6月12日からフランスで開催中のアヌシー国際アニメーション映画祭。今年は長編コンペティションに3作品がノミネートされ日本からの注目も高い。
一方で、国際見本市、企画マーケット、コンファレンスなどで構成されるMIFAでも日本の存在感が増している。ビジネスでの参加者が、例年になく多くなっているためだ。
その中で日本発を大きくアピールしたのが、16日午前にMIFAメイン会場のインペリアル・パレスホテルで開催された「Tokyo Pitch」である。「Tokyo Pitch」は、東京都が都内のアニメ事業者の海外進出を支援するために行っている。アニメスタジオが持つオリジナル企画をMIFAに持ち込み、ビジネスマッチングと映像関係者の前でプレゼンを実施する。
2016年に初めて行われたが、出品企画に海外企業から多くの関心が寄せられるといった大きな成果を残した。2017年はこれを受けて2度目の出品とピッチになる。参加スタジオは、CGCGスタジオ、COO、美よんどC (Studio 4℃)、MAPPAの4つである。いずれもこれからさらなる展開を狙う作品を披露した。
今年は会場がホテル内のよりアクセスのよい場所に移り、引き続き多くの来場者を集めた。また2年ということもあり、運営や告知もよりスムーズなり安定感がでていた。
とりわけ4社のピッチの質の高さは、印象的であった。プレゼンターは全て英語で話すのだが、単に作品を紹介するだけでなく、作品の魅力、スタジオの魅力を十分にアピールするなど考え抜かれた内容であることが伝わる。
また4社がいずれも、見応えのあるパイロットフィルムを用意していたのも印象的であった。笑い声や感嘆の声が上がるなど来場者の反応もアクティブと、全体で見ても成功を感じさせた。
日本のスタジオやクリエイターは、海外向けのピッチが苦手とされることが多い。しかし「Tokyo Pitch」を見ると、決して不得意なわけでなく単純に機会がないだけであることが分かる。短期間の訓練と周到な準備があれば、驚くほど質の高いピッチが出来るのだ。
日本の作品は、他の国にない個性が際立ったものが多い。クリエイティブの質も高いだけに、きちんとしたピッチが作品をいっきに光輝かせる。「Tokyo Pitch」は、そうした日本の作品やクリエイターの可能性を再認識させる点でも、意義深いものであった。