日本アニメーション初期作品60本以上 近代美術館フィルムセンターがネットで公開

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 2017年は、日本国産の商業アニメーションが誕生して100年目を迎える。これを記念した企画が、相次いでいる。そうしたなかで東京国立近代美術館フィルムセンターが、日本のアニメーションの源流を知る貴重な試みをネット上でスタートした。
 2月22日に、ウェブサイト「日本アニメーション映画クラシックス」を公開した。サイトでは、いまから100年前の1917年から1941年までの初期国産アニメーション64作品を集めて全編を無料で公開している。日本アニメーションの草創期の息吹を手軽に楽しむことが出来る。現存する最古の国産アニメーション『なまくら刀』は見どころだ。

 このサイトは、映画やその資料の保存・収集をするフィルムセンターと国立情報学研究所(NII)が共同開発したものだ。フィルムセンターは文化庁のBDCプロジェクトの一環として、「映画におけるデジタル保存・活用に関する調査研究」を行っている。「日本アニメーション映画クラシックス」もそのひとつになっている。
 フィルムセンターが収集したコレクション公開の方法として、ウェブサイトを活用する。今回は試験期間として、約1年間の運用を目指している。

 それだけにサイトの内容は、かなり充実している。64本の作品は、カテゴリーや作家、時代別に分類され、検索しやすいデザインとなった。さらにタイトル、制作年、作家、製作会社はもちろん、ストーリー、参考文献、フィルムの状態など詳細に示されている。
 「大藤信郎記念館」も、本サイトの目玉となる。大藤信郎は、戦前から戦後にかけて活躍したアニメーション作家で、革新的な表現で日本の映像表現を牽引した。毎日映画コンクールの大藤信郎賞に、その名前を残すことでも知られている。「日本アニメーション映画クラシックス」では、2010年にフィルムセンターで開催された企画展「アニメーションの先駆者 大藤信郎」をウェブ上に再構成し、その業績を紹介している。140点にもなる資料は、大藤の手書き台本や造形作品や切り紙キャラクターなどから構成される。

 今回は64作品もの公開になったが、まだまだ初期の国産アニメーションは存在する。しかし、こうした作品には、著作権情報などが不明で公開できないものも少なくない。
 そこでフィルムセンターでは、作品のタイトルをウェブ上で公開しており、情報を求めている。公開と同時に、インターネットの力で研究の進展を目指すかたちだ。

日本アニメーション映画クラシックス
http://animation.filmarchives.jp/

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