昔の映画のシナリオやポスター、パンフレット、スチル写真等を確認したい。そんな時、多くの人はどうするだろうか? 書籍であれば国会図書館、映画そのものであれば国立映画アーカイブをはじめとするアーカイブにアクセスするだろう。しかし映画の台本や宣伝素材を組織だって保存しているところはあまりなく、さらにどこの施設に何が保存されているのかを確認するのも困難だった。
こうした課題を解決しようと開発されたのが、2023年1月19日から一般公開された「映画資料所在地情報検索システム(JFROL)」だ。JFROLは国内5つの連携資料館が所蔵する映画関連の資料を横断して、ネット上で確認できるシステムである。映画産業振興機構(VIPO)が文化庁からの受託として構築した。
JFROLの基盤となっている提携資料館は2023年1月現在で5館、東映太秦映画村・映画図書室、松竹大谷図書館、川喜多記念映画文化財団、北九州市立松永文庫、早稲田大学演劇博物館である。数は限られているが、いずれも映画専門家には充実した資料で施設ばかりである。
検索は、まずキーワードの入力が必要になる。さらに対象とする所蔵館をチェックし、「シナリオ」「ポスター」「宣材等(紙)」「パンフレット/プログラム」「チラシ」「スチル写真等」「図書」「雑誌」「業務関連」「その他」の種別もチェックする。加えて製作年/発行年なども指定できる。
実際に検索していると、豊富な資料が出てくる作品がある一方で、資料が限られて作品がわかる。現状で映画関連の非資料保存は作品・文化全体を充分カバーしているとは言えない。
それがこうした検索エンジンを立ち上げた理由である。文化庁は現在、映画・アニメーション・マンガ・ゲームなどの資料や制作素材の広範囲な保存を進めている。そのなかで実際にそうした資料がどの程度残されており、どこに保存されているのか把握する必要がある。そこで情報を一元的に知ることの出来るデータの構築も進めている。
今回のJFROLは「令和4年度アーカイブ中核拠点形成モデル事業(撮影所等における映画関連の非フィルム資料)」の調査研究の一環としている。現時点で公開期間も実証実験をする2023年1月19日から2023年3月31日までに限定している。成果結果を受けた、さらに継続的な運用が期待されるところだ。
映画資料所在地情報検索システム(JFROL:ジェイエフロール)
https://jfrol.jp/