2022年3月14日、文化庁メディア芸術祭は第25回にあたる今年度の受賞作品、功労者を発表した。今回は2020年9月5日から21年9月3日までに発表または完成した作品を「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4部門で応募を受付けた。
この結果、世界95ヶ国・地域から3537作品の応募がある、部門ごとに大賞、優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞、U-18賞などを決定した。フェスティバル・プラットフォーム賞も含めておよそ40作品がアワードに輝いた。
また開催に合わせて関連分野から4人の功労者も決定した。ポリゴン・ピクチュアズ代表取締役の塩田周三氏、前衛音楽で活躍しデジタルとの融合も目指す刀根康尚氏、白泉社顧問の鳥嶋和彦氏、マンガ家のbelne氏である。功労者はメディア芸術の発展に大きな実績を残した人を顕彰するもので、2003年より設けられている。
塩田氏は2003年よりCGアニメーションスタジオのポリゴン・ピクチュアズの代表取締役を務めている。CGアニメーションにおける海外協業にいつ早く取り組んでいたほか、アヌシー国際アニメーション映画祭やSIGGRAPHなど国外での審査員や講演など文化交流にも積極的に行ってきた。
鳥嶋氏は集英社「週刊少年ジャンプ」編集者時代に『ドラゴンボール』を担当、『遊☆戯☆王』『ONE PIECE』、『NARUTO -ナルト-』などのヒット作も生み出した。マンガとゲームをつなぐ『Vジャンプ』を企画、クロスメディアの手法開発にも功績を残した。
belne氏はマンガ家と活躍する一方で、新人育成に尽力してきた。京都精華大学マンガ学部、開志専門職大学アニメ・マンガ学部で教鞭をとる。
刀根氏は50年代から日米の実験音楽シーンで活躍した。さらに音楽へのテクノロジーの取り込みに早くから積極的で2002年にはプリ・アルスエレクトロニカでデジタル・ミュージック部門の金賞を受賞している。
文化庁メディア芸術祭は、この後2022年9月16日から9月26日まで、東京・お台場の日本科学未来館他で受賞作品展を開催する予定だ。期間中は受賞作品の展示や上映、さらに受賞者らのトークなどが実施される。
文化庁メディア芸術祭 https://j-mediaarts.jp/
【アニメーション部門】
[大賞]
『The Fourth Wall』 Mahboobeh KALAEE[イラン]
[優秀賞]
『幾多の北』 山村浩二
『漁港の肉子ちゃん』 『漁港の肉子ちゃん』制作チーム
『Letter to a Pig』 Tal KANTOR[イスラエル]
『Sonny Boy』 夏目真悟
[ソーシャル・インパクト賞]
『PUI PUI モルカー』 見里朝希
[新人賞]
『オッドタクシー』 此元和津也/木下麦
『骨嚙み』 矢野 ほなみ
『Yallah! 』 Nayla NASSAR / Edouard PITULA /Renaud DE SAINT ALBIN / Cécile ADANT /Anaïs SASSATELLI[フランス]
【マンガ部門】
[大賞]
『ゴールデンラズベリー』 持田あき
[優秀賞]
『ダーウィン事変』 うめざわしゅん
『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 浅野いにお
『北極百貨店のコンシェルジュさん』 西村ツチカ
『私たちにできたこと ──難民になったベトナムの少女とその家族の物語』 ティー・ブイ[米国]
[ソーシャル・インパクト賞]
『女の園の星』 和山やま
[新人賞]
『きつねとたぬきといいなずけ』 トキワセイイチ
『転がる姉弟』 森つぶみ
『ロスト・ラッド・ロンドン』 シマ・シンヤ