2021年3月12日、今年で24回目を迎えた文化庁メディア芸術祭が各部門の受賞作品を発表した。文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガといった分野から毎年優れた作品を選び出し、顕彰をしている。ジャンルの幅広さと応募作品の多さから毎年注目を集める。
このうちアニメーション部門の大賞を湯浅政明監督、サイエンスSARUのアニメーション制作によるテレビアニメ『映像研には手を出すな︕』が受賞した。またマンガ部門の大賞は、羽海野チカさんの『3⽉のライオン』が選ばれた。
さらにゲームやインタラクティブメディア、音楽を対象にするエンターテインメント部門の大賞受賞作もアニメーション作品となった。岩井澤健治監督の『音楽』である。『音楽』は音楽活動に魅せられた高校生をシュールな演出で描く作品、制作に7年もの歳月をかけた。オタワ国際アニメーション映画祭グランプリ、アヌシー国際アニメーション映画祭最優秀オリジナル音楽賞などを受賞する。日本ではサプライズな部門での賞となる。
『映像研には手を出すな︕』は、大童澄瞳のマンガを原作に監督・シリーズ構成を湯浅政明が担当する。湯浅政明は第8回の『マインド・ゲーム』、第14回の『四畳半神話大系』、第21回の『夜明け告げるルーのうた』に続き、4回目の文化庁メディア芸術祭大賞になる。
国内外の短編・長編・テレビシリーズ全てが対象になる文化庁メディア芸術祭の受賞は超難関。その実力と評価の高さを4たび見せつけたかたちである。
アニメーション部門はこのほか優秀賞が4作品、日本からは『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『泣きたい私は猫をかぶる』の長編映画、そしてルーマニアの『マロナの幻想的な物語り』とチリの『Grey to Green』となった。いずれ2020年の話題作で、長編作品の活躍が目立った。またソーシャル・インパクト賞に『ハゼ馳せる果てるまで』(Waboku)、新人賞に『海辺の男』(森重光/小笹大介)、『かたのあと』(ふるかわはら ももか)、『À la mer poussière』(Héloïse FERLAY)を選んだ。
文化庁メディア芸術祭は近年の応募作品数の増加に合わせて受賞部門、受賞作品を増やしており、アニメーション部門も大量受賞になっている。文化庁メディア芸術祭全体では世界103ヵ国・地域から3693作品の応募があった。
また長年、各分野で業績を残した人物を対象にした功労賞も、文化庁メディア芸術祭のアワードのひとつである。今回は同人誌即売会「ガタケット」の創設などに貢献したガタケット事務局代表の坂田文彦氏、声優の野沢雅子氏、ゲームクリエイターのさくまあきら氏、メディアアート分野のキュレーターとして活躍した草原真知子氏を選出した。
第24回文化庁メディア芸術祭 https://j-mediaarts.jp/
【アニメーション部門 大賞】
『映像研には手を出すな!』 (湯浅政明)[日本]
【エンターテインメント部門 大賞】
『音楽』(岩井澤健治)[日本]
【マンガ部門 大賞】
『3⽉のライオン』(羽海野チカ)[日本]
【アニメーション部門 優秀賞】
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(石立太⼀)[日本]
『泣きたい私は猫をかぶる』(佐藤順⼀/柴山智隆)[日本]
『マロナの幻想的な物語り』(アンカ・ダミアン)[ルーマニア]
『Grey to Green』(Marcos SÁNCHEZ)[チリ]
【アニメーション部門 ソーシャル・インパクト賞】
『ハゼ馳せる果てるまで』(Waboku)[日本]
【アニメーション部門 新人賞】
『海辺の男』(森重光/小笹大介)日本]
『かたのあと』(ふるかわはら ももか)[日本]
『À la mer poussière』(Héloïse FERLAY)[フランス]