ADK エモーションズとディーライツが合併 海外事業を融合で成長目指す

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 ADKグループでアニメ・キャラクタービジネスを手がけるふたつの会社が合併することになった。2019年8月16日、ADKホールディングスは、子会社ADKエモーションズとその子会社にあたるディーライツを同年10月1日付で合併すると発表した。
 ADKエモーションズを存続会社とし、ディーライツを吸収合併するかたちをとる。取締役会長にADKホールディングス代表取締役の植野伸一氏を置き、代表取締役社長には現ADKエモーションズ代表取締役社長の野田孝寛氏、取締役にディラーライツ代表取締役社長の和田修治氏が就任する。ADKエモーションズは社員が約70名、ディーライツは約30名。合併後はおよそ100名体制になる。
 また合併に伴ないディーライツの北米子会社でニューヨークに拠点を持つSunrights.Incの商号をADK Emotions NY.Incに変更する。こちらの商号変更も10月1日を予定する。

 ADK エモーションズはアサツー ディ・ケイ(ADK)が持株会社体制に移行する今年1月に、コンテンツ分野に特化した事業会社としてADKから事業分割するかたちで設立された。コンテンツ分野での専門性の高いビジネスを目指している。ADKのアニメ・キャラクター事業のほか、日本アドシステムズ、エイケン、ゴンゾ、そしてディーライツの事業も統括している。
 ADKは今回の合併でディーライツの持つ海外でのプロデュース力やセールスネットワークを融合し、コンテンツ事業の成長を加速するとしている。

 ディーライツは、1988 年12月に、ゲーム会社ハドソンの子会社未来計画として設立された。2001年に大手商社三菱商事が全株式を取得し、異色の商社系アニメ会社となった。グローバルのネットワークを活かした「ベイブレード」シリーズや「ビーダマン」シリーズなどキッズアニメの世界展開を得意にしたほか、スタジオジブリ作品への製作出資もしている。
 2000年代には深夜アニメにも積極的だった。『マリア様がみてる』、『ブギーポップは笑わない』、『ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜』などのヒット作の製作委員会にも参加した。
 しかし次第に三菱商事と業務提携するタカラトミーと連携したキッズアニメに事業の軸を移すようになる。三菱商事はタカラトミーの株式を手放すと共にコンテンツ事業から徐々に撤退し、2014年に株式の過半数をADKに売却した。2018年12月には残る株式もADKに譲渡した。
 もともとディーライツの商号は、三菱グループを象徴するダイヤモンド(Diamond)の「D」と権利ビジネスのライツ(Rights)を組み合わせたものにある。ADKの完全子会社になった段階で名称と実態にずれがでていた。今回はそうした実態を現状に合せる狙いもあったとみられる。また今回の合併で32年間続いたディーライツの独立会社としての活動は幕を閉じる。

 ADKホールディングスは、国内では電通と博報堂に続く総合広告代理店として知られている。しかし規模の面では2社に差をつけられており、独自の戦略で成長を目指す。そのひとつがコンテンツ創出と権利マネジメントである。同社は『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』といった大ヒット作があり、アニメに強く「アニメのアサツー」と親しまれてきた。。
 2018年3月には経営陣らによるMBOで非上場企業を選択し、さらに2019年1月に持株会社に移行した。今回の合併もそうした組織再編の一貫とみてよいだろう。今年6月にはアニメ事業子会社ゴンゾの制作事業とライツ事業の一部を引き継ぐスタジオ KAIも設立している。

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