2004年から13年にわたって開催されてきた映画・テレビ番組・アニメの国際見本市TIFFCOMが、2017年より東京・池袋に移転することで注目を集めている。2月20日には豊島区役所で、池袋移転の経緯と開催概要を発表する記者会見が開催された。
会見には、TIFFCOMを主催する財団法人ユニジャパンの理事長で松竹代表取締役社長の迫本淳一氏、共催となる東京国際映画祭のディレクター椎名保氏、それに高野之男・豊島区長が出席。池袋での開催の意義を語った。とりわけ、大型カルチャーイベントを次々に誘致する豊島区の意気込みの大きさが感じられた。
TIFFCOMは、東京国際映画祭に併催するかたちで毎年開催されている。これについて椎名氏は、世界の国際映画祭でマーケットの重要性が高まっており、映画祭とマーケットは両輪と、TIFFCOMの重要性を強調した。
しかし、その運営は課題も多い。開催当初は映画祭と同じ六本木を会場としたが、2012年からは映画祭から離れたお台場のホテルに会場を移している。これはTIFFCOMが成功し、成長することで、必要される広さを確保する施設が見つからないためだ。
今回の池袋への移転も、会場のスペースの確保がきっかけだ。実際に2016年は、グランド ニッコー東京 お台場の宴会場・会議場のスペースを全て使用したが、手狭との印象はぬぐえなかった。しかも、拡張する余地がこれ以上ないのも明らかだった。
移転にあたっては、いくつかの候補地のなかから、地元のラブコールの大きかった池袋に決定した。豊島区が、長期的な視点でアートカルチャー都市構想を立てているのも理由だ。
現在でこそ池袋の映画館には17スクリーンしかないが、2020年までにはふたつのシネコンが建設され、新宿と同じ39スクリーンまで拡大する。さらに渋谷の25スクリーンを大きく上回る。新ホールや区民センターもオープンし、映画の街に生まれ変わる。池袋では2017年から東京アニメアワードフェスティバルも開催される。国際イベントを多く誘致し、街の活性化に結びつける。
迫本氏は、こうしたイベントは町ぐるみで応援してもらうことが重要、それが成功の秘訣と話す。地域との連動で、TIFFCOMのさらなる発展を目指すことになる。
使用会場の概要も、まとまってきているようだ。ユニジャパンによれば、開催にあたりサンシャインシティ4階の展示ホールA、展示ホールBの全てを利用する。ふたつを合せた面積は7000㎡を超える。さらに全部で15あるコンファレンスルームを全て使用する。利便性は向上しそうだ。そして過去数年で、需給が急速に引き締まっているホテルについても、隣接するプリンスホテルの協力を得ることが出来るという。
一方で、東京国際映画祭の本会場は、前年に引き続き六本木となる。両者間の移動は決して便利とは言えず、お台場と同様、依然課題は残ったままだ。