電子書籍事業のメディアドゥが小説投稿サイト「エブリスタ」を運営する株式会社エブリスタを子会社化することを発表した。2021年9月29日、ディー・エヌ・エー(DeNA)から同社が保有する発行済株式の70%を取得する。2021年12月1日付けで譲渡を受ける予定だ。譲渡価格は公表されていない。
エブリスタの株式はDeNAのほかNTTドコモが30%保有する。今回はNTTドコモ分については言及されておらず、引き続き大株主にとどまりそうだ。メディアドゥは株式取得後、エブリスタを特定子会社とする方針だ。
エブリスタはユーザーが気軽に自作小説などを投稿するプラットフォームで、2010年にDeNAとNTTドコモが設立した。10年の歴史は投稿小説サイトのなかでは老舗とみられている。
長年投稿されてきた作品からは映画化された『王様ゲーム』、アニメ化された『奴隷区』をはじめ出版やコミカライズ、映像化も少なくない。2018年には文化放送、創通、MBSと手を組んだ、投稿作品を映像化する大規模なアニメ化企画「Project ANIMA」も実施している。
「Project ANIMA」は、2021年秋より『サクガン』がテレビ放送開始予定。今後の作品も含めて、メディアドゥはエブリスタを通じて、アニメの企画・製作にも関わることになる。
メディアドゥは電子書籍取次の国内最大手で、電子書籍市場の急拡大に伴い売上高も急激に伸びている。しかし事業売上の9割以上を電子書籍取次が占める。ここ1、2年は多角的な事業進出に意欲的で、出版、電子書籍配信・書店、動画アプリ、アニメ・マンガの海外コミュニティと多彩だ。さらに今回は投稿サイトを通じたコンテンツ創出にまで進出することになる。
メディアドゥはエブリスタ子会社化によって、投稿コミュニティサイト機能の強化と多様な作品が生み出す環境の構築を目指すとしている。投稿された作品の出版やメディアミックスを推進、またWebtoonへの原作提供も視野に入れている。
エブリスタ
https://everystar.jp/