2020年の国内アニメーション制作が、19年に較べて減少していたことが分かった。2021年5月31日、一般社団法人日本動画協会は、2020年データ速報として2020年のテレビアニメ制作分数と映画制作分数、映画興行収入、公開タイトル数の暫定版を発表した。
協会の統計データワーキンググループが毎年まとめる「アニメ産業レポート」の速報値である。「アニメ産業レポート」は、多くの調査資料の基礎データとして広く活用されている。ただし今回の数字は暫定版であるため、今後修正される可能もある。
調査によれば2020年のテレビアニメ制作分数は9万8448分だった。前年の10万5294分より6.5%と2年連続の減少。過去8年間で最も低い水準でもあった。また劇場映画の制作分数も前年より33.2%減の4837分にとどまった。
いずれの減少も新型コロナ感染症の影響が大きかったとみられる。新型コロナ禍で20年春から秋にかけてアニメーション制作が滞り、一部で納品が間に合わないケースが出ていた。またテレビ放送の延期や劇場公開本数の減少で、20年度の作品で21年にずれ込んだものが発生した。
テレビアニメでより影響が大きかったのは、キッズ・ファミリー向けが大きい継続タイトルで18.7%減の3万5292分、深夜アニメが多い新作は逆に2%増の6万3156分だった。コロナ禍にも関わらず、新作のアニメへのニーズが引き続き大きいことを示している。
劇場アニメは制作分数の大幅な減少の一方で、映画興行収入は堅調だった。年間617億円は前年比10.8%減ではあるものの、2019年の692億円、16年の664億円に続く過去3番目に高い水準である。同じ期間の映画全体が45%減であることと較べれば底堅かった。
しかしこの数字は、国内史上最大のヒットとなった『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』に支えられた面が大きい。公開作品は大作を中心に公開延期が相次いだことから66本と前年比26.6%減。7年ぶりの低い水準にとどまっている。
「アニメ産業レポート2021」2020年データ速報
https://aja.gr.jp/info/1775