『ウルトラマンアーク』がアジアで吹替え放送強化 日本と同時期展開

テレビ

 ウルトラマンの最新テレビシリーズ『ウルトラマンアーク』が、2024年7月6日からテレビ東京系で土曜日の朝9時から国内放送を開始する。人気シリーズだけに、ファンや子どもたちの話題になるだろう。
 ウルトラシリーズは1966年の『ウルトラQ』から始まり、国内では『ウルトラマンブレーザー』までで27作品が制作された。このほか海外向けに制作された2作品もあり、これらを合わせると『ウルトラマンアーク』でシリーズ30作目になる。
 本作では銀河系から地球に来た光の使者が主人公の青年ユウマと一体化することでウルトラマンアークとなり、地球の未来を守る。これまでもシリーズの多くに参加してきた辻本貴則が、初のメイン監督をつとめる。また主人公の飛世ユウマ役を新人の戸塚有輝が演じる。

 ウルトラマンシリーズで近年、注目されているのが海外での人気の高まりだ。これはシリーズを製作する円谷プロダクションの海外展開戦略の成果でもある。今回の『ウルトラマンアーク』の放送・配信でも海外がかなり重視されている。
 国内放送開始からほぼ同じタイミングで、世界各国での放送と配信を行う。アニメでは昨今は珍しくない取り組みだが、実写番組では実はまだ決して多くない。
 前作でも世界同時の展開はしていたが、今回は展開地域や対応言語を広げる。対応言語は吹替と字幕の両方を含めると、英語、韓国語、インドネシア語、マレー語、ベトナム語、タガログ語、ラテン語、ポルトガル語、ヒンディ語、中国語、タイ語の11ヵ国にもなる。アジア言語が多く、アジア地域が『ウルトラマンアーク』の重点マーケットであることが分かる。

 もうひとつ『ウルトラマンアーク』のポイントは、吹替え版の充実だ。英語吹き替え版の同時期配信のほか、中国、香港、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムの6ヵ国・地域では、いずれも現地語吹替での同時期放送・配信を予定する。いずれもアジア地域だ。
 アジアを重視するのは、シリーズがとりわけ中国やアジア各国で人気が高いことが背景にある。円谷フィールズホールディングスの決算をみると、シリーズ製作の円谷プロダクションの売上げは近年、急成長をしている。2023年3月期の決算では売上高は101億円、このうち海外からが60億円、さらにそのうち中国が54億円を占める。

 海外向けの配信ではアニメなどではすでに積極的にされているが、まずは字幕で配信し、吹替えはその後、あるいは対応しないということも多い。日本との同時展開のスピードを重視しているためだ。オリジナル言語である日本語を聞きたいと、字幕を優先するコアファンが少なくないことも理由のひとつだ。
 『ウルトラマンアーク』では、字幕を苦手とする年齢の低い子どもたちを意識しているとみられる。もちろんウルトラシリーズには往年の大人層のファンも少なくない。しかし積極的に子どもに見せることで、若い世代のファンからの認知、さらに今後の市場拡大を狙う意図がありそうだ。

『ウルトラマンアーク』
https://m-78.jp/arc/
2024年7月6日スタート 毎週土曜日 9:00~9:30
国内放送局:テレ東系列6局ネット 他
国内配信サイト:ネットもテレ東、TSUBURAYA IMAGINATION、YouTubeウルトラマン公式チャンネル 他

海外放送局・配信サイト(予定)
【中国】 Tencent Video、Youku、iQIYI、Bilibili
【香港】 ViuTV
【台湾】 MOMO TV
【タイ】 Channel7
【インドネシア】 RTV
【ベトナム】 FPT Play

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