2024年9月25日、東京ミッドタウン日比谷 BASE Q HALLにて、第37回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見が実施された。東京国際映画祭は歴史の長さと規模から、アジアでも有数の国際映画祭として注目されている。
映画祭は注目の高いインターナショナルコンペティション部門のほか、ガラ・セレクション部門、ワールドフォーカス部門、Nippon Cinema Now部門、今年から設けられたウィメンズ・エンパワー部門を含む10部門から構成される。今年も上映監督や役者などのゲストが国内外から多く登壇、また併設する国際見本市TIFFCOMやシンポジウムにはビジネス関係者が訪れる。
アニメーション部門も注目部門だ。昨年は日本から海外だけでなく、海外から日本も見据えて海外アニメーション映画の上映も始めたが、今回もそれを引き継ぐ。「ビジョンの交差点:INTERSECTION of VISIONS」とタイトルして国内7作、海外5作品の計12作品を上映する。
アニメーション部門のプログラミングアドバイザーであるアニメ評論家の藤津亮太氏は、“特定の地域に偏らない”“立体や手描き、3DCG”といった特徴を挙げ、様々な表現を通じてアアニメーションの可能性を体感できると説明した。
海外5作品は話題の映画が揃った。まずは今年のアヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティションでクリスタル賞の輝いたオーストラリアのベテランのアダム・エリオットが監督するストップモーションの『メモリー・オブ・ア・スネイル』、さらに同映画祭で審査員賞含む4部門受賞の『Flow』がジャパンプレミアで上映される。さらにドミニカ初の長編アニメーション映画『オリビアと雲』、ドリームワークス最新作の『野生の島のロズ』、韓国の『ギル』とコンセプトどおりの多彩な作品が並んだ。
日本映画からは国内ですでに高い評価を獲得している『きみの色』、『窓際のトットちゃん』など7作品。同時に東京国際映画祭がワールドプレミアとなる『メイクアガール』(安田現象監督)をはじめ『クラユカバ』(塚原重義監督)、『数分間のエールを』(ぽぷりか監督)といった作家性の強いインディーズ出身監督の作品にも重点が置かれている。
『ルックバック』の押山清高監督、『化け猫あんずちゃん』の久野瑤子監督などインディーズと商業シーンの接近を感じさせる作品もある。インディーズとメジャーの越境で「ビジョンの交差点」を示す。こうしたテーマ性を押し出したプログラミングは、映画祭ならの醍醐味である。
もうひとつ映画祭ならの楽しみが、監督を初めとする作品関係者の登壇だろう。上映時の舞台挨拶などの詳細は今後随時発表になると見られるが、現在、アニメーション部門で3つのシンポジウムが予定されている。
ひとつは「アニメーション監督への道」、国内外の上映作品の監督から話を聞く。藤津氏は「学生やアニメ業界を目指す若者にも聞いて欲しい」とする。「日本アニメの新世代」は、インディーズからメジャーに越境する若手監督が未来を語るものだ。
さらに「『宇宙戦艦ヤマト』の歴史的意味」では氷川竜介氏をゲストに、1960年代から70年代にかけて『ヤマト』が児童文化の中で果たした意義を考えるとしている。映画祭では作品50周年を記念して『宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター』を上映する。無料の屋外上映でも新旧4作品が登場と、日本アニメのファン文化の源流にある作品がフォーカスされる。
一般チケットは2024年10月19日販売開始。東京国際映画祭公式サイトからの購入となる。
第37回東京国際映画祭
https://2024.tiff-jp.net/ja/