エンタテインメント事業の円谷フィールズホールディングスの業績が快調だ。直近で発表された2023年3月期の通期連結決算で、大幅な増収増益になった。売上高は1171億2000万円(23.4%増)、営業利益109億5000万円(217.9%増)、経常利益は112億1000万円(208.7%増)、当期純利益は82億2000万円(232.7%増)だ。
遊技機が中心のPS事業、映像企画・制作やライセンスのコンテンツ&デジタル事業の双方が大きな伸びとなった。PS事業は売上高1008億800万円(20.4%増)、営業利益が77億1400万円(340.7%増)だった。『Pゴジラ対エヴァンゲリオン ~G細胞覚醒~』がヒット、『パチスロ犬夜叉』も好調だった。
またメダルや玉に触れることなく遊ぶことができるスマート遊技機が好調で、成長を続けている。円谷フィールズHDは、今後もこの分野の大きな成長を期待している。
コンテンツ&デジタル事業も、業績を拡大している。売上高は145億3200万円(59.6%増)、営業利益は43億7800万円(198.8%増)だった。売上はPS事業と較べてだいぶ少ないが、利益率の高さが特徴だ。
同事業はウルトラマンなどのキャラクターライセンス・映像制作の円谷プロダクションとVFX制作のデジタル・フロンティアなどから構成される。円谷プロダクションはなかでもウルトラマン関連の売上が大きい。国内では2022年5月に公開した『シン・ウルトラマン』が、海外、特に中国ではウルトラマン関連商品の販売が急伸し、ライセンス収入が伸びた。
デジタル・フロンティアの売上高は40億9000万円(8.6%増)、営業利益は4億円(109.4%増)と増収増益だった。
円谷フィールズHDは、今後もコンテンツ&デジタル事業とウルトラマンの大きな成長を見込む。直近で43億7000万円の営業利益を3年後の2026年3月期には90億円まで引き上げることを目指す。
成長の切り札は海外展開である。23年5月には米国子会社TSUBURAYA FIELDS Media & Pictures Entertainment, Incを設立、24年にはNetflixで米国制作のアニメーション映画を全世界同時配信する予定だ。
さらに力が入るのが中国と東南アジアである。両地域でライセンス拡大をするだけでなく、テーマパークへの導入も目指す。地域に合わせた展開、海外パートナーとの連携で今後3年間のうちに円谷ブランドを確立する。ウルトラマンはこれまで以上に、日本を代表するキャラクターブランドになっていきそうだ。