バンダイナムコHD通期は小幅減収減益 玩具好調、ゲーム伸び悩む

ファイナンス決算

 大手エンタテイメントのバンダイナムホールディングス(バンダイナムコHD)は、5月20日に2020年3月期通期連結決算を発表した。過去数年、業績は順調な拡大を続けてきたが、20年3月期は成長の踊り場に差しかかったようだ。
 連結売上高の7239億8900万円は、ほぼ前年並みの1.1%減。営業利益は787億7500万円(6.3%減)、経常利益は797億9700万円(8.1%減)、当期純利益は576億6500万円(9.0%減)である。いずれも減少ではるが、小幅で利益は依然高水準を保っている。そうした点ではバンダイナムコHDの経営は盤石である。

 バンダイを中心とするトイホビー事業が、好調を保っている。国内海外ともに大人層向け商品が好調で、売上の約4割となった。また『DRAGON BALL』、『仮面ライダー』、「スーパー戦隊」シリーズ、『ワンピース』の関連商品が堅調だった。売上高は2537億1400万円(4.5%増)、営業利益は267億3300万円(23.1%増)。今後は欧米でも大人層向け商品の販売とマーケティングを強化するとしている。
 ゲームが中心のネットワークエンターテインメント事業が伸び悩んだ。家庭用ゲームで「ドラゴンボール Z KAKAROT」は想定を上回ったが、スマートフォン向けゲームアプリが前年比で減少した。売上高は3280億7900万円(3.8%減)、営業利益438億7900万円(7.7%減)だった。  ナムコが中心となるリアルエンターテインメント事業は厳しかった。アミューズメント施設は当初は堅調に推移したが、第4四半期(20年1月~3月)に新型コロナウイルス感染拡大から、国内外の施設を休業したことで影響を受けた。業務用ゲームでも新製品投入の延期があり、業務用ゲームの仕掛品などの評価損を、一部施でも特別損失に計上した。売上高は917億5300万円(9.6%減)、営業損失が15億200万円となった。

 アニメ関連では映像音楽プロデュース事業が増収減益、サンライズなどのIPクリエイション事業が減収増益である。
 映像音楽プロデュース事業は、売上高469億5100万円(3.1%増)、営業利益が80億3200万円(8.7%減)。『アイドルマスター』や『ラブライブ!サンシャイン!!』、『アイドリッシュセブン』、『ガールズ&パンツァー』などが人気となった。しかしパッケージソフトの発売タイトルが前年に及ばず、新型コロナ感染症拡大で第4四半期にイベント開催の延期や自粛が発生した。パッケージ販売売上高は前年の170億円に対して、152億円と11%の減少。
 IPクリエイション事業は売上高197億5000万円(12.1%減)、営業利益57億5800万円(14.7%増。「機動戦士ガンダム」シリーズが中心となった。

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