2016年に新海誠監督の『君の名は。』で日本中を揺るがしたコミックス・ウェーブ・フィルム(CWF)が、2018年夏に新たなオリジナルアニメを劇場に届ける。3つの短編からなるオムニバス映画『詩季織々』が、東京テアトル配給にて公開される。
大ヒット作の後に、CWFがどのような映画を創るのか関心を集めてきたが、再び現代の若者の気持ちとトレンドを捉えた作品を制作する。そして、急成長ぶりから世界的に注目される中国の大都市を舞台に選んだ。各作品が、上海、北京、広州に生きる若者たちの心をそれぞれ描き出す。監督は日本と中国から、若手監督が挑む。
『陽だまりの朝食』は、湖南省出身で北京で働く青年のストーリー。自身も田舎から北京に出て来たというイ・シャオシン(易小星)が監督する。実写出身の監督で、アニメは初挑戦になる。
日本からは竹内良貴が『小さなファッションショー』の監督となる。CGチーフとして長年新海誠作品に参加してきたが、今回は監督として広州で人気モデルとして活躍する姉妹の関係性を描く。
『上海恋』は、リ・ハオリン(李豪凌)が監督する。リ・ハオリンは、中国を代表するアニメブランドHaoliners(ハオライナー)の代表でもある。もともと新海監督に憧れていたリ・ハオリン監督が、長年CWFに熱心なオファーを繰り返したのが、今回の『詩季織々』のプロジェクトにつながっているという。
CWFは、2007年に旧(株)コミックス・ウェーブより映画会社として独立するかたちでスタートした。以来、新海誠を中心に、多くの若手監督の作品を創ってきた。オリジナル作品にこだわってきた。
『君の名は。』の大ヒット以後の活動が注目されていたが、中国を舞台に作品を制作するという驚きの展開になった。しかし、もともとCWFは若い才能にフォーカスし、さらに新しい制作の在り方を目指してきた。また海外での活動も熱心だ。そして中国は新海誠監督ファンがかねてより多いことで知られる。それが2016年に『君の名は。』が中国で記録的な大ヒットの原動力となった。
『詩季織々』は、むしろ未来志向のCWFらしい企画と言える。作品は日本だけでなく、中国でも大きな話題と人気を呼ぶに違いない。さらにそこから世界に、日本と中国の新たなアニメ時代の作品として広がりそうだ。
『詩季織々』
http://shikioriori.jp/
2018年夏、テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほか公開
配給:東京テアトル
『陽だまりの朝食』
イシャオシン(易小星)監督
『小さなファッションショー』
竹内良貴監督
『上海恋』
リ・ハオリン(李豪凌)監督