21世紀フォックス 英国の放送会社スカイを1兆7000億円で完全子会社化

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米国のエンタテインメントの巨大持株会社21世紀フォックス(21st Century Fox)は、2016年12月15日、英国の有料テレビ放送・番組製作のスカイ(Sky)の完全子会社化を決定した。21世紀フォックスは、現在スカイの株式の39%を保有するが、残りの61%を1株10.75ポンドで獲得する。
買収価格は12月6日のロンドン証券取引所の7.69ポンドにおよそ40%のプレミア価格を乗せる。買収総額は日本円で1兆7000億円を超える見込みだ。2017年末までに取引の完了を目指す。

21世紀フォックスは、世界的なメディアコングロマリットであるニューズ・コーポレーションが、2013年に映画・放送事業をスピンオフ・統合して誕生した。ハリウッドの6大映画会社のひとつ20世紀フォックスやアニメーション会社のブルースカイ・スタジオ、20世紀フォックステレビ、FOXニュース、出版社のナショナル・ジオグラフィックなどを傘下に持つ。映像配信プラットフォームのHuluにも31%出資する。
2015年の売上高は約290億ドル(約3兆4000億円)、米国では有数のエンタテインメントグループを形成する。完全子会社化により、これにスカイの売上高約120億ポンド(約1兆7000億円)が加わる。

スカイはロンドンに本社を持つメディア企業で、衛星放送事業で国際的によく知られている。有料契約世帯数は2200万世帯、ヨーロッパ有数の有料テレビ局である。さらに映像配信事業やテレビ番組製作も行っている。さらにスカイの事業は英国だけでなく、ドイツ、イタリア、アイルランドにも広がる。
21世紀フォックスは、スカイを傘下に収めることで北米、ヨーロッパをカバーする巨大企業となる。今回の買収により統合効果が発揮できるのは明白、さらなる成長と発展が期待できるとしている。なかでもスカイの持つスポーツとエンタテイメント分野が、大きな力を発揮すると同社はみる。

2016年は国際的に、映画とテレビの分野で大きなM&Aの相次ぐ年となった。10月には情報通信の巨人AT&Tが、総額約8兆円で映画やテレビのタイムワーナーの買収を発表している。12月初旬には、米国の映画会社ライオンズゲートが大手ケーブル局スターズの買収で合意に達した。中国のワンダ・グループによる映画製作会社レジェンダリー・ピクチャーズ、コムキャスト/ユニバーサルによるドリームワークス・アニメーションの買収もあった。
しかし、大きなトレンドは作品のライブラリーと作品を届ける新時代の流通の強化だ。ATTはタイムワーナーの持つ豊富な映画やテレビ番組を自社の得意とするネットワークインフラに乗せるとみられる。ライオンズゲートは、スターズの豊富なドラマと同時に優良顧客が多い有料テレビが鍵となっている。スカイについても映像を有料で楽しむ2200万世帯の存在が鍵になっている。コンテンツを増やし、それをいかの顧客に届けるかが問われているわけだ。

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