エンタテイメント大手のバンダイナムコホールディングス(バンダイナムコHD)の第2四半期までの業績が、ゲームの好調と円安効果に支えられ拡大している。2022年11月10日に発表された上半期の実績で、売上高と利益で過去最高を更新した。
連結売上高は4776億2000万円と21.3%増、営業利益は816億700万円の32.2%増、経常利益は923億6500万円と44.1%増、そして当期純利益は665億5700万円(68.4%増)だ。いずれも期初の見通しを大きく上回っている。
これを受けでバンダイナムコHDは通期連結決算の業績見通しも上方修正している。売上高は8800億円から9400億円へ、営業利益は1000億円から1280億円に、経常利益は1100億円から1390億円に、当期純利益は700億円から950億円に引き上げた。これにより前年比微減予想の年間売上高は過去最高を見通すことになる。
一方で通期予想の修正幅は第2四半期の上振れ幅より低めに見積もられている。第3四半期以降も好調が続けば、売上高でさらに高い数字1兆円も視野に入ってくる。
業績の上振れは前期に販売した「ELDEN RING」のヒットの余波が続くデジタル事業、大人向け玩具とトレーディングカードが好調だったトイホビー事業が貢献した。また円安効果で海外からの受取り金額が円換算で拡大したことも影響した。
ゲーム関連が中心のデジタル事業の売上高は1938億9700万円(29.6%増)、営業利益は446億4900万円(71.7%増)だ。ガンダムシリーズが好調なトイホビー事業の売上高は2133億6800万円(19.8%増)、営業利益は335億6200万円(1.4%増)だ。アミューズメント事業も売上高486億5700万円(24.7%増)、営業利益48億400万円(96.3%増)と増収増益だ。
アニメの企画製作・制作を中心としたIPプロデュース事業は伸び悩んでいる。売上高は350億6500万円(2.9%減)と微減。営業利益も34億5900万円(3.7%減)と減収減益である。ブルーレイ、DVDなそのパッケージ販売が54億円でほぼ前年同期並み、アニメ制作・ライセンス・配信・イベントなどが296億円で、前年の306億円より減少している。
しかし第3四半期には、主力作品の「機動戦士ガンダム」で10月から新作テレビシリーズ『水星の魔女』が開始、この人気好調である。本作のビジネス的な広がりに期待をかけることになりそうだ。
作品別売上では、その「ガンダム」シリーズが好調だ。上半期の売上高は前年同期比24.3%増で「ドラゴンボール」(657億円)、「機動戦士ガンダム」(624億円)、「ワンピース」(359億円)と共に3つの柱になっている。これに「仮面ライダー」(142億円)、「ウルトラマン」(89億円)の特撮作品へと続く。いずれも長年愛されている定番キャラクターだ。
「機動戦士ガンダム」や「ワンピース」が前年比で伸びが大きく、積極的なメディア展開がグループ全体のビジネスに波及していることが分かる。「ウルトラマン」の伸びも大きかったが、こちらも近年の相次ぐ映像化やイベントなど積極的方針が、ライセンス関連も含めた市場拡大につながっていると見ていいだろう。
国別ではアメリカ、ヨーロッパの伸びが大きい。特にヨーロッパの売上高は前年の258億円から74.5%増の450億円と急伸している。第2四半期までで伸び率15%で440億円であったアジアを上回った。
ただし利益率ではアジアが高く、営業利益ではアジア88億円、アメリカ61億円、ヨーロッパ50億円の順番だ。