映画・演劇事業の松竹は、4月14日に2020年2月期決算を発表した。映画事業の好調に支えられ、連結売上高は7.3%増の974億7900万円となったが、演劇事業で特別損失6億6000万円を計上したことも響き、当期純利益は前年比6.8%減の24億2000円にとどまった。営業利益は46億400万円(0.9%増)、経常利益は44億6200万円(10.0%増)。
特別損失は、年明けから続く新型コロナウイルス感染症の拡大を防止が影響をしている。20年2月より演劇事業で歌舞伎座、新橋演舞場、大阪松竹座、南座での公演を相次いで中止し、これを計上したためだ。
映像関連事業の期中売上高は549億6100万円(13.9%増)、営業利益は21億7900万円(185.7%増)だった。
配給では『ザ・ファブル』、『男はつらいよ お帰り 寅さん』がヒット作。アニメの配給は13作品と、4作品の洋画を大きく越え、邦画16作品に匹敵する主力分野になっている。好調だったのは興行で、他社配給作品を含めて高稼働を維持した。CS放送事業は厳しい状況が続いた。
演劇事業は売上高265億5700万円(0.6%増)、営業利益は6億8100万円(65.1%減)。20年2月の新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』が話題を呼んだ。
不動産事業は大規模ビルが満室で、高稼働が続いている。売上高は111億9800万円(6.1%増)、営業利益は49億9100万円(8.6%増)だ。
なお通常であれば期末決算と共に発表される今期(2021年2月期)の連結業績予想は未定としている。新型コロナウイルスの感染拡大により映画館の休館や演劇公演の中止・延期が相次いでいるためだ。
感染症の終息時期の見通しが立たないことから、松竹では現時点で業績を合理的に見積もることは困難であると説明する。今後、業績予想が可能となった時点で公表する予定だ。