アヌシーで湯浅政明監督5度目の候補、TV部門「日本沈没2020」、映画祭はデジタルで実施


 アヌシー国際アニメーション映画祭が、2020年のオフィシャルコンペティション各部門の作品を発表した。このうち日本からはテレビ部門に、湯浅政明監督、アニメーション制作サイエンスSARUの『日本沈没2020』が選ばれた。また学生部門(Graduation Films)には、多摩美術大学・金子勲矩さんの『The Balloon Catcher』が選出されている。
 オフィシャルコンペティションは、グランプリなどのアワードの選考対象になる作品で、ノミネートと言い換えてもいい。湯浅政明監督はこれまでに短編部門1回、長編部門2回、テレビ部門1回と4度のノミネートがある。うち1回は『夜明け告げるルーのうた』で長編部門クリスタル賞(グランプリ)に輝いている。今回で5回目という快挙で、アワードの行方も気になるところだ。

 部門はこのほか、短編部門(The Official)、Off-Limits部門、Perspectives部門、若者向け部門(Young Audiences)、受託部門(Commissioned Films)があるが、日本からのオフシャルセレクトは2作品にとどまった。短編部門には、パトリック・スミス&石田かおり夫妻による『Beyond Noh』がノミネートされている。そのタイトルからは日本文化と関連も高そうだが、こちらは米国からの作品だ。

 アヌシー国際アニメーション映画祭は世界最大のアニメーション映画祭として、広く知られている。業界に対する影響力も大きい。2020年は世界94ヵ国から3171作品ものエントリーがあるなど、応募総数も膨大だ。
 このうちオフィシャルセレクションに選ばれたのは短編部門37本、Off-Limits部門12本、Perspectives部門20本、若者向け部門10本、学生部門44本。そしテレビ部門の21本と受託部門35本で合計179本だ。採択率は5.6%と、かなり厳しいハードルになっている。コンペインはグランプリなど各アワードを競うが、それ自体が高い価値を持つ。

 その選考だが、2020年はかなり変則的になりそうだ。新型コロナウィルスの世界的な拡大に伴いフランス・アヌシー現地のフェスティバル開催を断念したからだ。その代替イベントとしてオンライン上で展開する「アヌシー2020オンライン」を2020年6月15日から20日まで実施すると今回発表した。
 映画祭、そして国際見本市MIFAなどで予定していたプログラムの多くをデジタルで世界に届けるという。詳細は今後告知する。また今回はラインナップが明らかにされなかった長編部門とVR部門のオフィシャルコンペティション作品も今後発表予定だ。これらを含めて、どういったかたちでアヌシーがデジタル展開されるのか、新しい挑戦に関心が集まりそうだ。

アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/

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