クランチロールとNBCユニバーサル・ジャパン アニメ製作と世界配給で提携

協力

 国内アニメ製作の老舗であるNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンと、日本アニメの海外向け配信の大手クランチロールがアニメ製作で手を組むことになった。2017年7月12日、両社は新作アニメの共同製作と世界配給での提携を発表した。
 NBCユニバーサル・ジャパンとクランチロールによれば、共同製作は人気コンテンツを原作とするほか、完全オリジナルの作品も含む。オリジナル作品は、グローバルマーケットに向けた全く新しい企画になる。
 タイトルや詳細は後日発表するとしている。クランチロールは2017年8月25日から27日までの3日間、同社初となる大型イベント「クランチロール エキスポ 2017」をカリフォルニア州サンタクララで開催する。この場で何らかの発表が期待できそうだ。

 NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンは、1980年代に設立されたパイオニアLDCに源流を持つ映像・音楽パッケージ会社である。パイオニアLDC時代には「天地無用 ! 魎皇鬼」シリーズをはじめ、『苺ましまろ』、テレビシリーズ『Hellsing』など多くの人気アニメを手がけた。OVAや深夜アニメビジネスを開拓した会社のひとつだ。
 2003年に電通に買収され、ジェネオン エンタテインメントに商号変更。さらに2008年にはNBCユニバーサルの日本法人ユニバーサル・ピクチャーズに売却され、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンと合併した。2013年に現在の社名NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンとなった。近年も『ベルセルク』、『ドリフターズ』、『アルスラーン戦記』、『終わりのセラフ』といったヒット作がある。日本のアニメビジネスを代表する会社だ。

 クランチロールは、2006年にスタートした日本アニメ専門の海外配信のプラットフォームとして有名だ。世界的な動画配信ビジネスの拡大に伴い、急成長をしている。全世界に100万人の有料会員を持つ。2013年に大手メディアグループのチャイニングループの傘下に入り、さらに2014年にはAT&Tの出資も受けた。
 日本アニメの配信権の獲得だけでなく、近年は製作出資や日本企業とのパートナーシップにも積極的だ。2016年2月には住友商事と共同でアニメ投資ファンドを設立、同年4月には大手エンタテイメントグループのKADOKAWAと海外向けアニメ配信での包括契約を結んだ。今回はさらにアニメビジネスの老舗と共同事業を進める。
 海外での日本アニメ配信は、いまやNetflixやAmazon プライムビデオなどのメガカンパニーがクランチロールのライバルになっている。長年のネットワークとビジネスノウハウを活かしたクランチロールが、これとどう戦っていくのか。これからの動向も関心を集めそうだ。

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