松竹第1Q 映画事業が急伸、演劇は依然赤字から抜け出せず

ファイナンス決算

 2023年7月13日に発表された松竹の24年2月期第1四半期の決算は、業績の回復基調が鮮明だった。連結売上高は231億8200万円と前年同期の24%増、営業利益は7億2400万円のマイナスから24億1100万円の黒字に一転した。経常利益は19億2800万円、当期純利益は16億2900万円。

 なかでも回復が大きかったのは、映像関連事業である。売上高は135億6300万円(41.9%増)、営業利益は9億7300万円の損失から23億2400万円の黒字である。
 期間中、映画興行が盛り上がりを見せたのが、大きかったとみられる。『名探偵コナン 黒鉄の魚影』や『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』などのアニメーション作品の大ヒットにより好調に推移とするほか、自社配給では『滝沢歌舞伎ZERO FINAL』があった。テレビ制作、映像ソフト、テレビ放映権販売も堅調だった。

 演劇事業も回復基調にあるものの、第1四半期には赤字から抜け出せなかった。売上高は60億4500万円と17.1%増だが、営業損失は3億400万円である。前年同期の損失7億4900万円からは大きく改善している。
 不動産事業は売上高は30億6600万円(11.7%減)、営業利益は13億8100万円(25.8%減)。減収減益だ。

 松竹はアニメ映画を毎年、多く配給している。第1四半期は、アニメ映画はなかったが、第2四半期以降は、6月16日に映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』を公開している。
 今後は8月4日に『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』、8月18日には 『アイドルマスター ミリオンライブ!』、10月27日には『アイドルマスター シャイニーカラーズ』を公開する。いずれも人気の高いシリーズで手堅い動員を狙えるだろう。さらに2024年1月26日公開の「劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』」がある。00年代前半に一世風靡した人気シリーズの約20年ぶりの完全新作ストーリーは大きな注目を集めることになりそうだ。

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