ゴンゾ 創業メンバー石川真一郎氏が全株式買取りへ

ファイナンス決算

 アニメ会社ゴンゾの経営母体が大きく異動することになる。同社の創業メンバーの石川真一郎氏がゴンゾの全株式取得を目指すことが明らかになった。
 ゴンゾは2020年3月25日に臨時株主総会を開催し、3万8800株につき1株にまとめる株式併合を可決する方針だ。株式併合が認められれば、発行済株式数は24株まで減少する。
 同社には株式上場時から株式を保有する少数株主がいまも存在するが、株式併合後はそうした株式は1株未満の端株になる。これにより24株を保有する現在の親会社ADKマーケティング・ソリューションは、ゴンゾを完全子会社とすることが可能になる。

 ADKマーケティング・ソリューションは、ゴンゾを完全子会社としたうえで同社取締役の石川真一郎氏に全株式を売却する方針を示している。株式譲渡が実施されれば、ゴンゾはADKグループを離れ、石川氏が出資、経営する独立企業になる。
 ゴンゾの2019年12月期の売上高は9億4100万円、営業利益4800万円、経常利益1900万円、当期純利益は3億4100万円。当期純利益は、アニメーション制作事業をスタジオKAIに譲渡売却したことにより拡大している。

 ゴンゾは1992年に設立した旧ゴンゾと、95年に石川真一郎氏らが設立したディジメーションが母体になったアニメ製作会社である。2000年に両社が経営統合し、2004年にはGDHとして東京証券取引所マザーズ市場に上場した。『巌窟王』、『SAMURAI 7』、『アフロサムライ』などの話題作を数々製作したが、急激な事業拡大の反動で業績が悪化、2009年に上場廃止となった。
 経営主体は投資ファンドを運営するいわかぜキャピタルに移り、2016年9月にはアサツーディ・ケー(現ADKマーケティング・ソリューション)が公開買付けを通じて約62億円でゴンゾをグループ会社とした。

 ADKグループはゴンゾに、アニメーション制作と権利運用を通じたコンテンツ事業強化を期待した。しかし買収後の経営体制の再構築に手間取り、またアニメーション制作部門の赤字が続き、シナジー効果も十分に発揮できなかった。
 2019年8月には新設会社スタジオKAIにアニメーション制作事業と権利の一部を譲渡、ゴンゾはライセンス事業に特化することで経営は安定化した。しかし現状で多額の債権を保有し、総資産は31億4700万円のマイナスとなっている。ADKグループは、自社グループ傘下での事業拡大は見込めないとして事業売却を探ったが、受入れ企業をみつけることが出来なかった。その後、取締役の石川氏が買付意向を示し、今回の方針が決まった。

 石川氏はディジメーションの創業メンバーで、GDH代表取締役兼CEOをはじめ長らくゴンゾの会社経営に携わってきた。アニメビジネスに経験が豊かなことから、経営取得後はプロデュース事業、新規事業の展開、また過去作のリメイクなどを視野に入れるなどで企業価値の向上を目指す。
 
ゴンゾ
http://www.gonzo.co.jp/

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