塚原重義監督「クラユカバ」、ファンタジア国際映画祭で長編アニメーション部門観客賞・金賞

「クラユカバ」、ファンタジア国際映画祭

インディーズアニメーションで長年活躍してきた塚原重義監督の待望の初長編作品『クラユカバ』がこのほど完成、ワールドプレミアとなった第27回ファンタジア国際映画祭で大きな賞に輝いた。2023年8月9日まで開催された映画祭終了後、15日に各部門の観客賞が発表された。
『クラユカバ』はこのなかで長編アニメーション部門のグランプリとなる観客賞・金賞を受賞した。有力な作品が揃う中で、観客から最も支持を集めたかたちだ。
 ファンタジア国際映画祭は、1996年にカナダのモントリオールでスタートしたジャンル映画の映画祭である。当初はアジア映画にフォーカスしていたが、現在は世界各国から毎年約400作品が上映される。規模の大きさから、ジャンル映画分野では北米で最も重要な映画祭とみなされている。

 今回は長編アニメーション10本ほどが上映された。そのうち観客賞では次点にあたる銀賞を板津匡覧監督とプロダクション I.Gによる『北極百貨店のコンシェルジュさん』、銅賞は日本で大ヒットを続ける『THE FIRST SLAM DUNK』が受賞した。
 また先立って発表されている審査員による長編アニメーション部門グランプリ(今 敏賞)は『THE FIRST SLAM DUNK』、審査員特別賞は鳥山明のマンガを原作にした『SAND LAND』 が選ばれている。2023年は映画祭の長編アニメーション部門のアワードを日本作品が独占したかたちだ。

  『クラユカバ』は、探偵業を営む荘太郎が町で起こる集団失踪事件を追うところからスタートする。その事件はやがて世の中の裏側で蠢く組織の謎に迫ることになる。塚原監督ならではの全面を彩る大正レトロな雰囲気が特徴と魅力の探偵活劇に仕上がった。
 主人公の荘太郎を人気講談師の六代目 神田伯山が務める。講談調のストーリー運びも他の作品にない雰囲気を醸し出す。
 00年代初めから高い評価を受けてきた塚原監督だが、本作完成までには長い道のりがあった。初の長編ということでなかなか企画が成立しないなか、2018年と2020年に実施した2回のクラウドファンディングが大きな成功を収めた。これが大きな注目を集めることになり、企画が進行し、今回の完成にこぎつけた。
 製作側では今後も、国内外の映画祭で上映を目指している。また現在、国内上映についてもプロジェクトが進行中としている。ファンタジア国際映画祭をスタートに、今後も国内外の活躍が続きそうだ。

『クラユカバ』
https://www.kurayukaba.jp

監督:塚原重義 
キャラクターデザイン:皆川一徳
特技監督:maxcaffy
操画監督:アカツキチョータ
美術設定:ぽち
美術監督:大貫賢太郎
製作:クラガリ映畫協會

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