ジャンル映画の世界的なイベントして知られるシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭で、新海誠監督の『君の名は。』が大きな賞に輝いた。長編アニメーション部門の最優秀賞に選ばれた。同部門は昨年、原恵一監督の『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』が受賞したばかり。2年連続でベストに輝いた日本アニメの存在感を発揮した。
今回で49回目を迎えたシッチェスはSF、サスペンス、ホラー、アクション、ファンタジー、時代劇、アニメーションなどのジャンル映画に特化した映画祭で、この分野で世界を代表する存在。毎年日本からも多く出品されるが、今年の受賞は『君の名は。』だけとなった。長編アニメーション部門には、『君の名は。』のほか日本の『心が叫びたがってるんだ。』を含めた6作品がコンペに選ばれていた。
一方、同じ週末に英国で開催されていたロンドン映画祭では受賞を逃した。こちらはアニメーション映画としては史上初のオフィシャルコンペティションとして注目されていた。グランプリに輝いたのは、米国のケリー・ライハルト監督の『Certain Women』。モンタナ州に住む個性の違う3人の女性を描いた作品だ。
『君の名は。』はこれらだけでなく、次々に国際映画祭に姿を見せている。9月6日には海外初となる第64回サンセバスチャン国際映画祭にて特別上映作品として登場した。9日には日本以外のアジアでは初となる第21回釜山国際映画祭でガラ上映があった。
さらに今後は英国のLoves Anime 2016、韓国・第18回富川国際アニメーション映画祭に出品される。富川はコンペテイション部門のため、また新たな期待もかかりそうだ。
国内では『君の名は。』の大ヒットで一躍脚光を浴びる新海監督だが、海外での評価はこれまでにも高かった。前作の『言の葉の庭』は、シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭長編部門最優秀賞、カナダ・ファンタジア映画祭にてグランプリ、iTunesの2013年ベストアニメーションにも選出されている。『秒速5センチメートル』は、アジアパシフィック映画祭の最優秀アニメーション映画賞、イタリアのフューチャーフィルム映画祭のグランプリ受賞といった具合だ。
それだけ新海監督の久々の長編映画を待ち望むひとは海外にも多い。国内の上映はまだまだ続きそうな気配だが、今後も海外で話題は増えそうだ。