講談社は2019年11月6日に、野間文芸賞、野間文芸新人賞、野間児童文芸賞と合わせて野間出版文化賞の受賞者を発表した。
野間出版文化賞は、出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体を顕彰することを目的に、今年からスタートした。2019年に講談社が創業 110 周年を迎えたのを記念して設立されたものだ。
野間出版文化賞の記念すべき第1回に、アニメ映画監督の新海誠氏と作家・東野圭吾氏が選ばれた。また団体からは講談社の少女マンガ誌「なかよし」と集英社の少女マンガ誌「りぼん」が並んでの受賞となった。
野間出版文化賞は出版分野のアワードであるが、新海誠監督は映画監督・脚本の他に自作の小説も自ら執筆している。このかには『秒速5センチメートル』、『言の葉の庭』、『君の名は。』、『天気の子』などがある。なかでも2016年の小説『君の名は。』は100万部を超える大ベストセラーになっている。
東野圭吾氏は『容疑者Xの献身』、『白夜行』、『秘密』などいくつものベストセラーで知られる人気作家だ。現在の日本の小説界をリードする存在だ。
講談社の110周年を記念して誕生した野間出版文化賞だが、新海誠監督のこれまでの小説はいずれもKADOKAWAグループから出版されており、講談社からはない。野間出版文化賞が幅広い文化を対象としていることを、これで示したかたちだ。
「なかよし」と「りぼん」の同時受賞にも、同じ方向が窺える。ライバル2誌を並べることで、少女マンガ文化の盛り立てに大きな役割を果たしたマンガ雑誌文化をそのもの顕彰している。