YKKオリジナルアニメ第3弾、制作はスタジオコロリド YouTubeから世界発信

FASTENING DAYS 3

 ファスナーの世界的なブランドであるYKKが、2014年よりアニメを通じて新しいカルチャー発信に挑戦している。2014年と2016年の2度にわたり展開したオリジナルアニメプロジェクト『FASTENING DAYS』の最新プロジェクトが、この9月にスタ-トにした。
 第3弾でも新作オリジナルアニメを制作した。ショートアニメ『FASTENING DAYS 3』を、3つのエピソードにわけて3週連続でネットにて公開している。エピソード1は9月6日に公開されたが、わずか一週間で再生数は180万回を超える人気を集めている。

 YKKは1934年にファスナーの加工・販売の会社として設立された。ファスナーの世界トップブランドとして成長し、現在はさらに窓やサッシ、ドア、ビル用品などを幅広く手がける。売上高は年間で7000億円を超える巨大企業である。
 そんなYKKが企業カルチャーを伝えるこれまでにないメディアとして制作されたのが、『FASTENING DAYS』のアニメシリーズである。作品は商品や企業そのものでなく、YKKが取り扱う“ファスナー”、そこから派生する“つなぐ”というテーマを届ける。
 映像作りにあたっては既存のキャラクターや作品ではなく、登場人物や世界観も今回の映像のために新たに企画している。本来は企業コマーシャルの役割が求められるはずだが、作中には“YKK”の社名やブランドはなく、具体的な製品は現れない。企業プロモーションとして異色だが、それが逆に強い印象を残す。第1弾、第2弾だけで世界で1300万回以上再生されるほどの関心を呼んでいる。

 制作のスタッフにも手を抜かないのも、『FASTENING DAYS』の特長である。第1弾から第3弾まで、いずれも独自の作風で人気の高いスタジオコロリドがアニメーション制作を担当した。
 第1弾、第2弾の監督は『ひなたのアオシグレ』の石田祐康、今回はアニメ『宇宙兄弟』や映画『聖☆おにいさん』の演出の柴山智隆が務めた。スタジオコロリドならではの暖かいイメージが映像にいっぱい溢れている。
 またテーマソングにはアーティストユニットのPerfumeを起用してきた。Perfumeは日本だけでなく、海外でもとりわけ人気が高いことで知られている。『FASTENING DAYS』が海外に向けても発信していることが分かる。
 実際にアニメは日本語のほか英語音声、さらに字幕でスペイン語、中国語(簡体字)、フランス語、タイ語、ベトナム語に対応する。全7カ国語での配信となっている。『FASTENING DAYS 3』エピソード1も8割以上が外国語版での視聴になっている。
 世界の共通語ともいえるアニメが、世界に向けた情報発信にうまくマッチしているともいえる。アニメを使ってメッセージを届けることが、グローバル企業にとってよい方法になったというわけだ。

『FASTENING DAYS』スペシャルサイト
http://goo.gl/eUoK6w

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