『君の名は。』から最新作『すずめの戸締まり』まで3作連続で国民大ヒットとしたアニメーション監督・新海誠が、芸術選奨に選ばれた。2023年3月1日に文化庁より発表された。
芸術選奨は演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論、メディア芸術の各分野において、毎年優れた業績を挙げた人物を文化庁が選出している。芸術選奨文部科学大臣賞と今後の飛躍が期待される新人賞の2分野を設けている。
新海誠はこのうちアニメーションやマンガ、ゲームなどを対象とするメディア芸術の文部科学大臣賞を受賞した。芸術選奨は1950年に始まる長い歴史を持つがメディア芸術部門の歴史は新しく、2008年にスタートしている。マンガ、アニメーション、ゲーム、メディアアートなどを対象にするが、これまでに大臣賞にはアニメーション分野から、宮崎駿、高畑勲、山村浩二、庵野秀明、片渕須直、湯浅政明、鈴木敏夫らが受賞している。アニメーション分野では新海誠は、最年少での受賞となる。
今回の選出理由については、2022年11月に全国公開された映画「すずめの戸締まり」の成果を挙げている。また自身で原作から書き、ゼロからオリジナルのアニメーションをつくり続けてきたことも評価の大きなポイントとなった。アニメーションによって「壮大な叙事詩」を描くスタイルは唯一無二のものであるともしている。
アニメ以外では、映画分野の大臣賞に特撮監督の尾上克郎が選ばれたのも注目される。長年、映画の視覚効果で実績を重ねてみたことに加えて、2022年に劇場公開された『シン・ウルトラマン』の表現が表現された。衣装デザイナーの宮本まさ江と共に、ダブル受賞となった。
さらにメディア芸術の新人賞は漫画家の野田サトルに決まった。22年に8年に及ぶ連載を完結させた『ゴールデンカムイ』が成果として挙げられた。アイヌ民族を描く難しいテーマに挑むことで文化的世界観のアップデートを行なったとしている。
受賞者には賞状のほか、大臣賞には30万円、新人賞には20万円の賞金が贈られる。また2023年3月9日、都内のホテルにて贈呈式を実施する。