地上波キー局テレビ朝日を中核とするテレビ朝日ホールディングスが、大手映画会社・東映の株式を追加取得したと明らかにした。これまで発行済株式の13%を保有していたが、2019年12月9日付で4.77%分を買い増しし、株式保有比率を17.77%に引き上げた。市場価格から推定される譲渡金額は100億円超になる。大株主の順位ではこれまでも第1位であったが、新たに持分法適用関連会社とする。
テレビ朝日HDは追加取得の理由を、両社の連携、コンテンツ制作力の強化のためとしている。東映は映画事業、テレビ番組制作の老舗の一角である。テレビ朝日とは『相棒』シリーズ、『科捜研の女』シリーズなどのヒット作を製作している。子どもたちに人気の高い戦隊シリーズも、東映とテレビ朝日の大きな取り組みのひとつだ。
テレビ朝日HDは東映の第1位株主であるが、東映もテレビ朝日HDの株式の15.51%を保有している。これは朝日新聞(第1位・24.8%)に続く大株主第2位である。さらに戦隊シリーズの玩具製造・販売をするバンダイナムコHDは東映の第3位株主(8.03%)、テレビ朝日は東映が持分法適用関連会社にする東映アニメーションにも20%を出資する第2位の株主だ。コンテンツを軸にビジネスパートナーが株式保有で強く結びついている。
一方で、東映には、テレビ朝日HD以外にも、TBSテレビ(第2位・9.43%保有)、フジテレビホールディングス(第6位・4.44%)、日本テレビ放送網(第8位・3.72%)と複数の放送局が大株主に名前を連ねる。持株比率を増やし持分法適用関連会社化することで、ライバル他社よりも大きな存在感をだしたいとのテレビ朝日HDの思惑も垣間見える。