グローバル向けのアニメ配信を手がけるクランチロールが、VIZ メディア・ヨーロッパグループとの資本提携手続きをこのほど完了させた。クランチロールは米国サンフランシスコの拠点を持つ日本アニメビジネスの大手で、ヨーロッパ事業の強化を目的にVIZ Media ヨーロッパグループの取得を進めていた。
今回の資本提携でクランチロールは、フランス、ドイツ、スイスにまたがるグループ各社VIZ メディア・ヨーロッパ、VIZ メディア・スイス、AV Visionen、KAZÉ、KAZÉManga、Anime on Demand、Anime Digital Networkの親会社となった。従来のサンフランシスコ、ロサンゼルス、東京、そしてテクノロジー拠点であるモルドバ・キシナウも含めてグローバルのネットワークが一気に強化される。
でこれまでVIZ Media ヨーロッパのビジネスを統括しきた小学館・集英社グループは、買収完了後も、引き続き株式の一部を保有する。親会社の異動に伴いVIZ メディア・ヨーロッパの竹内和芳社長は退任するが、新たにアドバイザーとなり、引き続きVIZ メディア・ヨーロッパのビジネスに関わる。
またクランロールのEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)部門のトップに、新たにジョン・イーサム氏が就任する。クランチロールのヨーロッパ事業、VIZ Mediaヨーロッパを統括する。
イーサム氏は米国サンフランスコのVIZメディア・ヨーロッパの両社で12年間に在籍してきた。日本アニメ・マンガの経験が豊富だ。新しいポジションでその経験を活かす。新会社のビジネスは、配信からテレビ放送、劇場公開、ビデオパッケージ、マンガ、ゲーム、イベント、ECなどで多岐にわたる。
一方で小学館・集英社グループは今回の取引に合わせて、新たにVME PLB SASと名付けた会社をフランス・パリに設立した。VME PLB SASは、VIZ メディア・ヨーロッパの出版ライセンス事業を統括する。社長にはVIZ Media ヨーロッパの前社長の竹内和芳氏、マネージングディレクターを益田和之氏が務める。
小学館・集英社グループは、ヨーロッパのマンガ出版ライセンス事業を引き続き推進する。このことから今回の提携が、小学館・集英社グループのヨーロッパにおけるアニメ・キャラクター事業、マンガ出版事業からの撤退で、今後は出版ライセンス事業に特化しっていく方向性が見て取れる。
VME PLB SASは、EMEAだけでなく南米でもライセンス許諾の事業続ける。非英語圏の海外ビジネスの中核企業のひとつとして位置付けられているようだ。