米国ワーナー・メディアグループの日本アニメ事業クランチロールは、2019年9月6日、フランス・パリに拠点を持つVIZ Media Europe Group(以下、VIZメディア・ヨーロッパ・グループ)の株式過半数を取得したと発表した。これを機に両社は事業提携を進める。
VIZメディア・ヨーロッパ・グループは、日本の小学館・集英社・小学館集英社プロダクションの共同出資子会社。3社は引き続き、同社の少数株主に留まる。クランチロールと協業することで、ヨーロッパ・アフリカ・中東地域のビジネス拡大を目指す。
グループの中核会社VIZメディア・ヨーロッパは、米国・サンフランシスコに拠点を持つ日本マンガ・アニメの翻訳出版・配給会社VIZメディアの兄弟会社として2007年にパリに設立された。その後、2009年にフランスのKAZE、ドイツのAnimeVirtualを相次いで買収した。
現在はVIZメディア・ヨーロッパを中心に、AV ビジョンや Vizメディア・スイスなどでグループを構成する。「KAZE」レーベルを中心にマンガとアニメを手がけ、アニメ配信サービスのAnime on Demandも運営する。フランス、ドイツ、スイスを主要な市場とするだけでなく、ヨーロッパ・アフリカ・中東も事業の管轄に置く。
VIZメディアは、北米では日本マンガ翻訳出版のシェアの過半数を握る。デジタル分野の積極的な進出もあり、近年は業績好調が伝えられている。しかしVIZメディア・ヨーロッパ・グループの業績は米国ほど好調でなかったとみられる。マンガ・アニメともヨーロッパ各国に現地の有力企業が存在するからだ。
日本の3社はクランチロールに株式過半数を譲渡、経営を委ねることで、子会社運営のコストとリスクを軽減する狙いがあるとみられる。同時にクランチロールとの協業で、従来通りのヨーロッパの拠点を確保する。インフラづくりや作品ライセンスの獲得投資が大きな配信プラットフォームの分野でも今後協業が期待出来そうだ。
クランチロールは、米国ではセンタイフィルムワークスやバンダイナムコエンターテインメントなど日本アニメ・ゲーム分野で有力企業との提携を相次いで発表している。今回はヨーロッパでの提携となったが、これを機会に米国でもクランチロールとVIZメディアとの連携も深まりそうだ。幅広い連携は、他の有力企業ファニメーションやアニプレックス、さらにアニメ分野で勢いを増しているNetflixに対抗するものとなる。
また先頃ファニメーションがイギリス最大手の日本アニメ企業マンガ・エンターテイメントを買収したばかり。日本アニメ・マンガ関連事業をターゲットにした米国企業のM&Aを通じたヨーロッパ進出が相次いだかたちだ。アニメビジネスのグローバルな一体化が進む一側面とも言える。