朝日放送G、アニメ・外国映画の吹替・ポスプロ会社を買収

提携

 大阪に拠点を持つ地上波放送局の朝日放送グループがアニメ関連のさらなる事業拡大に動いている。2019年12月4日朝日放送グループは、東京港区元赤坂に本社があるポストプロダクション専門スタジオであるプロセンスタジオ株式会社と資本業務提携を結んだことを明らかにした。資本提携を通して朝日放送グループは、プロセンスタジオの経営権を獲得する。

 プロセンスタジオ1979年創立のポストプロダクションの老舗企業である。特に吹替やアフレコを得意としており、アニメのほか外国映画の吹替アフレコを多数手がけている。外国映画の吹替制作もする。またNetflixやAmazonプライム ビデオなどの動画配信サービス向けの日本語吹替版制作もする。映画業界では近年の映像配信プラットフォームビジネスの拡大もあり、海外作品とその日本語版のニーズが増している。吹替もこれまで以上に必要とされている。
 プロセンスタジオは、これまでは放送局の系列や作品ジャンルにとらわれない営業を展開してきた。しかし今回は大手放送局のグループになることで、ビジネスの拡大を狙う。

 朝日放送グループの狙いは、同社の目指す「総合コンテンツ事業グループ」の実現である。プロセンスタジオを東京持つネットワークを活かし、グループのコンテンツ制作における映像・音響の制作・編集の強化をする。IP(知的財産)のマネタイズする仕組みの柱の1つに位置づけるとしている。
 朝日放送グループは本社のある大阪だけでなく、東京でも全国ネット番組やドラマの制作をしている。しかし東京でのポストプロダクションは、外部委託が中心だった。これを内製化することで、品質管理や映像フォーマットの多様化にも対応する。

 朝日放送グループは数ある大手放送局の中でも、とりわけ新しい事業の取り組みに熱心だ。なかでもアニメ関連は重点分野になっている。
 2016年にグループ内のアニメ事業を切りだしたアニメだけの会社ABCアニメーションを設立した。ライセンスや海外などのアニメの成長分野の強化が目的である。また今年5月にはアニメ・キャラクターの上場会社DLEを子会社化している。同社の持つキャラクターマネジメント、タイアップ、短期間での番組制作のノウハウを手に入れた。今回も成長分野の動画配信とも関わるだけに見逃せない動きと言っていいだろう。 

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