DLEが子会社・関係会社株式売却 アニメ・キャラクター事業に経営資源を集中

ファイナンス決算

 不適正会計処理問題で揺れたDLEの経営が落ち着きを取り戻しつつある。5月29日に朝日放送グループホールディングスが第三者割当増資を引き受けて、同社株式の51.97%を取得、グループ会社化した。資本業務提携により、ファイナンスと信用の両面でDLEをサポートする。
 これに合わせて、事業の再構築も急ピッチで進んでいる。6月20日には、特定子会社、W TOKYOと関係会社のdouble jump.tokyoの株式一部譲渡を発表した。よりスリムな体制で、経営の立て直しを目指す。

 W TOKYOは、ファッションイベントとマーケティングを主とする会社。若い女性に人気のTOKYO GIRLS COLLECTIONの商標権を保有し、イベントも運営してきた。DLEは2015年6月に商標権を、16年9月に運営権を取得していた。
 同社の事業は2018年6月期で売上高32億7300万円、営業利益1億4600万円と黒字を計上している。しかしW TOKYO自体の上場を目指し、また今後の成長戦略を描く中で株式の一部を手放すことが最適と判断した。
 DLEは保有株式5万9000株(保有割合54.38%)のうち、3万7500株をカルチュア・エンタテインメント、トランザクション、マイナビ、藤野英人、片山晃、東義和、帝都インベストメンツ投資事業有限責任組合の7者に譲渡する。譲渡価格は13億8700万円で、これにより連結業績で15億1600万円の特別利益を計上する。

 double jump.tokyoは、ブロックチェーンの技術を持ちいたゲーム開発で、国内で先駆的な存在だ。DLEは2018年5月に同社を子会社していた。同年12月に株式の一部をgumiグループに譲渡していたが、さらにgumi の連結子会社gumi Cryptosに株式譲渡する。
 譲渡株式数、譲渡価額は明らかにしていない。しかし今回の取引で2019年6月期に連結で特別利益1億6400万円を見込む。

 株式譲渡したふたつの会社は、いずれも今後の成長が見込める分野である。しかし、新しくDLEの親会社となった朝日放送グループは、アニメをはじめとしたコンテンツ事業の強化に力をいれている。DLEに対しては、映像コンテンツの企画・製作、マーケティングにより多くを期待している可能性が高い。
 今回の取引はDLEが創業期にコア事業としていたアニメ企画・制作、、マーケティングに、再び経営資源を集中させるものに見える。2019年はDLEのビジネスにとって大きなターニングポイントになりそうだ。

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