アニメーション界のアカデミーとも言われる米国アニー賞が、12月2日に2019年の各部門のノミネート作品を発表した。2019年に北米公開されたアニメーションでベスト作品を選ぶものである。
日本の3本の映画が最優秀長編映画(インディーズ)に名前が挙がった。ノミネート5作品のうち3本が日本という快挙となった。『天気の子』(新海誠監督)、『プロメア』(今石洋之監督)、『若おかみは小学生!』(高坂希太郎監督)である。
最優秀長編映画(インディーズ)は、米国にて999スクリーン以下で公開された長編映画を対象とする。海外の有力作品が選ばれることが多い。今年は3作品以外にフランスの『失くした体』とスペイン・オランダ合作の『Buñuel in the Labyrinth of Turtles』がノミネートしている。それぞれアヌシー国際アニメーション映画祭のグランプリと審査員賞だけに、日本勢にとっては手強い競争相手になる。
一方の公開スクリーン数1000以上の最優秀長編映画は、米国の大手スタジオが並んだ。こちらも5作品で、『アナと雪の女王2』(ディズニー)、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(ドリームワークス)、『トイ・ストーリー4』(ピクサー)、『Missing Link』(ライカ)、そしてNetflixが製作する『クロース』である。
『天気の子』は長編映画(インディーズ)以外にも、3部門でノミネートされている。長編映画最優秀監督賞、最優秀脚本賞、さらにデジタルエフェクトを対象とする最優秀FX賞である。こちらのライバルは『アナと雪の女王』や『トイ・ストーリー4』、『クロース』、『Missing Link』といった大作ばかり、今後の他の賞レースにも絡んでくる作品だ。
近年は日本アニメがアニー賞にノミネートされることは少なくない。しかし監督賞、脚本賞も含めた4つの部門でのノミネートは快挙。作品への高い評価を反映した。
テレビ部門最優秀監督賞にも日本から2作品があがった。『ULTRAMAN』の神山健治/荒牧伸志両監督、『リラックマとカオルさん』の小林雅仁監督である。同じくテレビ部門の最優秀ストリーボード賞には『Carole & Tuesday』もある。
ビデオゲーム部門では『キングダム ハーツIII』の名前がある。日本のスクウェア・エニックスの制作チームを対象にしている。
映画部門では、ディズニー、ピクサー、ドリームワークスといったハリウッドスタジオの強さがやはり際立っている。また興行的に大ヒットにならなかったが、ライカの『Missing Link』も評価が高い。
テレビ部門ではNetflixが躍進する。長編映画でも初の長編オリジナル『クロース』と配給する『失くした体』が多数ノミネートされるが、テレビ部門は作品数で圧倒する。日本の『ULTRAMAN』、『リラックマとカオルさん』、『Carole & Tuesday』もNetflix独占アニメとして世界配信された。
テレビ部門一般向けの最優秀作品賞候補では5本のうち3本がNetflixオリジナル。音楽部門も同様だ。日本でも話題を呼んだ『Love, Death & Robots』、また『カルメン・サンディエゴ』はいくつもの部門にノミネートされている。他にはVIZ Mediaの製作する『Seis Manos』や、『BoJack Horseman』、『Tuca & Bertie』、『Green Eggs and Ham』とテレビ部門を席巻する。これまで米国の会社が手薄だった大人向けのエンタテイメントアニメーションの空白を一挙に埋めているのが勝因と言えそうだ。一方で他の映像プラットフォームからはAmazonプライム ビデオを含めてほとんど作品が挙がらなかった。
アニー賞 ノミネート一覧
https://annieawards.org/nominees