米国アニー賞ノミネート発表 「この世界の片隅に」「ひるね姫」「ダム・キーパー」など

アワード/コンテスト

 2017年12月5日、ア二―賞(Annie Awards)が、2017年度第45回のノミネートを発表した。過去一年間、米国で公開されたアニメーションの中から優れた作品とスタッフを選び、顕彰するものだ。
 とりわけ注目の高い長編アニメーション賞では、インディンペンド部門で日本の2作品が候補に挙がった。『この世界の片隅に』、そして『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』である。『この世界の片隅に』は第二次世界大戦前後の広島と呉を舞台に、片渕須直監督のもとMAPPAがアニメーション制作した。『ひるね姫』は、「攻殻機動隊 S.A.C」神山健治が監督。シグナル・エムディが制作を担当する。

 アニー賞は、国際アニメーション協会ハリウッド支部が、毎年主催している。映画、テレビを中心におよそ30部門から構成され、その重要性から「アニメーション界のアカデミー賞」と称されることも多い。
 映画ではメジャー配給の大作と、外国作品を中心とした限定公開作品を均等に評価しにくいと、2年前より公開館数1000を超える一般部門と1000館以下のインディペンデント部門に分けられている。2016年はスタジオジブリが出資する『レッドタートル ある島の物語』が、インディペンデント部門で最優秀賞を受賞した。

 『この世界の片隅に』、そして『ひるね姫』も、インディペンデント部門で名前が挙がった。他の3作品は『ゴッホ~最期の手紙~』、『The Big Bad Fox & Other Tales』、『The Breadwinner』と海外作品ばかりが並んだ。いずれもすでに国際映画祭で高い評価を受けており、賞レースは大激戦となる。
 一方、一般カテゴリーの長編アニメーション部門は、『Captain Underpants: The First Epic Movie』、『カーズ/クロスロード』、『リメンバー・ミー』、『怪盗グルーのミニオン大脱走』、『ボス・ベイビー』。ピクサー、ドリームワークス、イルミネーションのハリウッドスタジオのCG大作が並んでいる。
 全体でもディズニー・グループの強さが目立つ。『リメンバー・ミー』は全部で14ノミネートに挙げられ、テレビ作品でもミッキーの短編作品で6ノミネートなど、グループ全体で35のノミネートに輝いている。
 独立系の作品ではアイルランドのカートゥーンサルーンの『The Breadwinner』が10ノミネートと健闘が目立つ。『The Breadwinner』は、同日、ロサンゼルス映画批評家協会が発表した2017年のアワードのうち最優秀アニメーション賞を受賞している。一挙にアカデミー賞の有力候補に躍り出た。

 日本関連では、『この世界の片隅に』、『ひるね姫』以外にも話題がある。長編アニメーション部門プロダクションデザインで、スタジオポノックの『メアリーと魔女の花』が候補に挙がった。
 また最優秀スペシャル番組にノミネートされた『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』も日本と関係が深い。2015年に米国アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた堤大介、ロバート・コンドウ共同監督の『ダム・キーパー』からスピンオフした作品で、トンコ・ハウス制作、エリック・オー監督にて制作された。
 本作は日本のHuluのオリジナルとして製作され、配信作品としてリリースされた。製作出資も日本のHuluが中心となっている。本年のアニー賞にはアマゾンスタジオやNetflixの作品も多くみられるが、日本の配信オリジナルも存在感を示した。同部門には『アナと雪の女王』のスピンオフ『オラフのフローズンアドベンチャー』もノミネートしている。

 最優秀テレビアニメーション賞(こども作品部門)にノミネートした『Lost In Oz』も、そんなアマゾンスタジオの作品のひとつ。『オズの魔法使い』の後日談を見事なCGアニメーションで描き出した。
 このアニメーション制作は、日本のCGスタジオであるポリゴン・ピクチュアズが担当している。これまでも数々の海外作品で活躍してきたポリゴン・ピクチュアズがここでも高い評価を獲得した。

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