国際アニメーションフィルム協会 ハリウッド支部(ASIFA HOLLYWOOD)は、2016年11月28日に第44回アニー賞各部門のノミネートを発表した。2016年は日本からも複数のノミネートがあり、賞の行方を期待させる結果になっている。
アニー賞は米国でリリースされたアニメーションを対象に、優れた作品とスタッフを顕彰するアワードとしてよく知られている。その仕組みや36部門にも及ぶ広いカテゴリーは、アニメーション界のアカデミー賞とも呼ばれている。
今回注目されるのは、最優秀長編アニメーション賞[インディペンデント](Best Animated Feature – Independent)である。5つある候補作には、日本から原恵一監督の『百日紅~Miss HOKUSAI~』、新海誠監督の『君の名は。』が挙げられた。スタジオジブリが製作出資する『レッドタートル ある島の物語』も含めると日本作品が半分以上になる。残りの2本は東京アニメアワードフェスティバルでグランプリに輝いた『Long Way North』、そしてアヌシー国際アニメーション映画祭グランプリの『My Life As A Zucchini』である。
最優秀長編アニメーション賞は、前回より数千館規模の全米公開作品を対象とした一般と限定公開作品を対象としたインディペンデントの2部門に分けられている。インディペンデントではメジャースタジオ以外の作品をピックアップしている。一般部門では『ファインデイング・ドリー』、『モアナと伝説の海』、『ズートピア』とディズニー/ピクサーが過半数を占めた。これにライカの『Kubo and the Two Strings』、ドリームワークス・アニメーションの『カンフーパンダ3』が選ばれている。
また長編アニメーション監督賞(Outstanding Achievement, Directing in an Animated Feature Production)に、『君の名は。』から新海誠監督がノミネート入りしたのは快挙だろう。こちらはメジャーとインディペンデントの区別は設けられておらず激戦の中からである。『君の名は。』は候補作にはなっているが劇場公開自体は12月からと、米国での知名度がほとんどないなかでの選出となる。
監督賞にはこのほか『レッドタートル』のマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督、『Kubo and the Two Strings』のトラヴィス・ナイト監督、『My Life As A Zucchini』のクロード・バラス監督、そして『ズートピア』のリッチ・ムーア監督が選ばれている。大物監督が並ぶ中での新海誠監督の活躍が期待される。
『レッドタートル』は長編アニメーション音楽賞でローラン・ペレズ・マールが、長編アニメーション脚本賞(Outstanding Achievement, Writing in an Animated Feature Production)でマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督とパスカル・フェランの名が挙がり、視覚効果賞(Outstanding Achievement, Animated Effects in an Animated Production)も含めて合計5部門でのノミネートになる。その評価の高さを感じさせる。
候補作品はASIFA HOLLYWOODの会員の投票により、それぞれ最優秀賞が決められる。2017年2月4日にカリフォルニア大学ロサンゼルス校ロイスホールで開催される授賞式の場で発表される。