米国のコミック界を代表するアイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)の2018年のノミネート作品が、4月26日に発表された。
アイズナー賞は、前年に業界で顕著な功績を残した作品やアーティストを顕彰するもの。ノミネートでの選出を経て、業界関係者の投票により最優秀賞の受賞者を決定する。顕彰対象はジャンルや職種に細かく分かれており、31部門にも及ぶ。
今年も日本関連のノミネートが挙がった。なかでも目立つのは、翻訳出版部門アジア(Best U.S. Edition of International Material—Asia)。米国で翻訳出版されたアジア作品から最優秀作を選ぶ部門だが、例年日本のマンガが圧倒的な強さを発揮している。今回もノミネート5作品が全て日本からだった。
谷口ジローの『ふらり。』、野田サトルの『ゴールデンカムイ』、田亀源五郎の『弟の夫』、萩尾望都の『バルバラ異界』、そして伊藤潤二の『自選傑作集』。新作と旧作が混在しているのは、米国での翻訳出版があった年を基準としているためである。
谷口ジローはこの他にも、最優秀アーティスト(Best Writer/Artis)の5人のひとりになっている。海外でとりわけ評価の高い谷口は、2017年2月に逝去した。その業績を讃えた追悼の意味も込められていそうだ。
また田辺剛の『魔犬』が最優秀賞翻案賞(Best Adaptation from Another Medium)に、日本人のアニメーション監督・堤大介と日系監督ロバート・コンドウの共著『The Dam Keeper』がテーンズ向け最優秀作品賞(Best Publication for Teens (ages 13-17))でノミネートされた。『The Dam Keeper』は同名のショートアニメに基づいた絵本として出版された。
さらに今回の注目は、『AKIRA』35周年記念として米国の講談社現地法人から発売された「35周年記念エディション」だろう。全巻を豪華イラストのボックスに収納、そのデザインセンス、さらに価格も話題を呼んだ。
最優秀愛蔵版賞(Best Archival Collection/Project—Comic Books)、そして最優秀出版デザイン賞(Best Publication Design)にノミネートされている。「35周年記念エディション」はボックス商品として記録的な売上げも実現。2017年の米国コミック業界のエポックメイキングな出来事になっている。
いずれのアワードも、7月19日から22日までサンディエゴで開催されるコミコン・インターナショナルの受賞式で発表される。
アイズナー賞(Will Eisner Comic Industry Awards)
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