鉄道経営などを中心とする東急が、連結子会社の東急レクリエーションを完全子会社化する。2022年9月4日、両社の取締役会議で決議した。東急は現在、東急レクリエーションの株式の48.94%を保有する。そのほか東急ストア、東急エージェンシーなどのグループ各社、東急不動産、そして東映や松竹などの取引先が大株主だ。
完全子会社化は株式交換を予定しており、2023年1月1日付で東急レクリエーション1株に対して3.6株を割り当てる。近年、株式市場全体で減る傾向にある親会社と子会社の同時上場も解消される。
東急レクリエーションは1946年に新日本興業として誕生、1953年に東急グループとなった。主力事業は「109シネマズ」ブランドのシネマコンプレックスの運営で全国19サイト200近いスクリーンを持つ、独立系映画興行チェーンとして存在感を持つ。一方で、東急と共に東急歌舞伎町タワーを建設中、かつて保有していた東急文化会館は東急主導で渋谷ヒカリエとして再開発された。
東急は鉄道経営、百貨店やスーパー、ホテルなどの事業を手がける。かつては東京急行電鉄が中核事業で子会社を持つかたちであったが、2019年に鉄道事業を分離子会社化して商号を「東急」に変更している。鉄道中心から幅広い生活産業企業に軸足を動かす。そうしたなかで映画を中心にエンタテイメント事業を得意とする東急レクリエーションを完全子会社化、事業を密にすることで、グループ全体のビジネス拡大を目指すことになる。
完全子会社化によって、109 シネマズのシネコン事業にも影響がありそうだ。東急は東急レクリエーションの成長には109 シネマズの価値向上が必要で、グループの拠点である渋谷地区でのシネマコンプレックス開業が不可欠であるとする。そのための資金調達や不動産の地権者との協議や事業推進に東急との協力体制が有力な手段であるとしている。今後、渋谷地区に109 シネマズ系のシネコンが登場する可能性は高そうだ。