朝日放送(ABC)グループのアニメ・キャラクター会社DLEが、アニメーション監督・高坂希太郎の新たな作品開発に取り組む。DLEは2019年11月7日に20年3月期第1四半期決算の発表をした。この第1四半期の取り組みと、今後の事業計画の中で明らかにした。
DLEは現在、IP(知的財産)開発の基盤整備に取り組んでいる。その中で長編映画『若おかみは小学生!』の高坂希太郎監督を中心とした作品の開発体制を強化していることに触れている。またこのために新たにスタジオを開設した。スタジオ構築は、かなりまとまった投資になるが、中期目的での投資回収を目指す。腰を据えた事業になりそうだ。
DLEは2001年に事業をスタート。Flashを用いた『秘密結社 鷹の爪』といった作品で急成長をした。キャラクター連動型のショートアニメを得意としてきたが、2018年に劇場長編やテレビシリーズ、実写映画に進出している。
そのなかで手がけた高坂希太郎監督の劇場映画『若おかみは小学生!』が、国内外で高い評価を得た。アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門選出や毎日映画コンクールのアニメーション映画賞などに輝いている。
高坂希太郎は名アニメーターとして、スタジオジブリで『千と千尋の神隠し』、『風立ちぬ』ほか多くの作品で活躍した。一方『茄子 アンダルシアの夏』の監督としても知られている。『若おかみは小学生!』は監督としての高坂に再びスポットを当てたが、さらにそこから演出のキャリアが広がりそうだ。
DLEは2018年の粉飾決算問題などをきっかけに経営不振となり、事業再編も進めた。しかし2019年5月の朝日放送グルー プとの資本業務提携で資本増強し、中長期的なアニメ・キャラクター事業を目指すことになった。そのなかで実績と評価が高い高坂希太郎監督を、今後の中核のひとつに定めたと言えそうだ。