クールジャパン機構 米国の日本アニメ配給会社センタイに出資

北川直樹代表取締役社長CEO センタイ・ホールディ創業者ジョン・レッドフォード氏

 日本のクリエティブ産業の海外展開活性化を支援するクールジャパン機構が、アニメ分野で新たな企業への出資を行った。2019年8月1日、米国で日本アニメの配給・流通を手がけるセンタイ・ホールディングス(Sentai Holdings, LLC)の株式を約32億円で取得したことを明らかにした。出資比率は明らかにしなかったが、経営の主導権を取れるマジョリティでの投資になる。
 センタイ・ホールディングスは、過去27年にわたり日本アニメの北米展開ビジネスを手がけてきたジョン・レッドフォード氏が2008年に設立し、CEOを務める。アニメの映像パッケージ(DVD・ブルーレイ)を発売・流通するセンタイ・フィルムワークスやアニメ配信のハイダイブ(HIDIVE)、配信・CATV事業のアニメネットワーク、実写も含むセクション23フィルム(Section23 Films)などの事業を束ねる。いずれの事業もテキサス州ヒューストンに本拠を構える。
 センタイは日本の複数企業からアニメの北米ライセンスを獲得してビジネスを展開するが、その数は現在700作品以上となる。この中には『けいおん!』や『メイドインアビス』、『ポプテピピック』、『バンドリ!』、『ハイキュー!!』などの人気タイトルも含まれる。とりわけコアファン向けの作品を得意とするのが特長だ。

 8月1日には、東京港区のクールジャパン機構にて、同社の北川直樹代表取締役社長CEO、そしてセンタイ・ホールディングスの創業者であるジョン・レッドフォード氏が登壇する記者会見が開催された。
 北川氏は「北米での日本アニメの展開を一緒にやっていきたいと」と語り、「日本の中小の権利元が安心してセンタイとビジネスを出来る経営基盤を構築する」と今回の狙いを説明する。さらにセンタイが大手エンタテイメント企業グループに属さない独立系事業者であることを重視しているという。
 正規動画配信の広がりによって、現在北米では2000年代初頭以来の日本アニメブームとされている。しかし企業サイドでは配信大手Netflix、ワーナー・メディアとグループ会社のクランチロール、さらにソニー・ピクチャーズ・テレビジョン傘下になったファニメーションとソニーミュージックグループのアニプレックスの巨大エンタテイメントグループの市場支配力が強まっている。
 市場の寡占化が進むと日本の中小企業は交渉力が弱くなりがちだ。クールジャパン機構はセンタイに出資することで、単独で海外進出が困難な国内権利者の海外進出の促進を目指す。多様な日本アニメ作品を北米に届けることで、そのプレゼンスの向上と輸出拡大も視野に入れている。

 センタイにとっても、昨今の北米での日本アニメビジネスの環境変化が今回の取り組みの大きな理由と見ていいだろう。Netflix、クランチロール、ファニメーション、アニプレックスと資本力が大きな企業が群雄割拠するなかで、独立企業が新たに新作アニメのタイトルを獲得するのは年々困難になっている。
 そのなかでセンタイがこれまでのどおり業界での中立性を確保できる出資者としてクールジャパン機構を選択したと、レッドフォード氏は話す。
 資金増強だけでなく、クールジャパン機構の国内外の企業支援・投資の経験やノウハウや日本で持つ企業とのネットワークの活用も期待される。さらに今後は事業多角化を視野に入れることで、北米における日本アニメの戦略的ハブにもなりえる。

 ジョン・レッドフォード氏は、1992年にアニメ配給・流通のADヴィジョンを設立、以来日本アニメのビジネスに関わる。長年この分野では米国を代表する存在だ。
 先頃は京都アニメーションのスタジオで起きた放火事件の被害救済を目的に、国外でいち早く支援のための募金活動を始めた。センタイ・フィルムワークスは『けいおん!』のほか『たまこまーけっと』、『CLANNAD』、『中二病でも恋がしたい!』、『境界の彼方』といった京都アニメーション作品を北米で展開している。

センタイ・フィルムワークス
https://www.sentaifilmworks.com/

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