アニメ大手の東映アニメーションが7月26日、2020年3月期第1四半期の決算発表をした。連結売上高は139億3500万円(1.1%減)と前年並み、営業利益は44億8200万円(6.3%減)、経常利益は46億8400万円(7.6%減)、当期純利益は33億7900万円(8.9%減)である。全体では小幅な減収減益で、急成長を続けてきた業績も、ひとまず落ち着いたようだ。
引き続き好調だったのが、版権事業である。売上高は82億500万円(2.7%増)、営業利益は38億8300万円(4.9%増)と増収増益。
国内版権が新作アプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」が好調で、夏の劇場アニメ『ONE PIECE STAMPEDE』関連も稼働し、大幅な増収となった。国内版権は『ドラゴンボール』が全体の半分以上、これに『ワンピース』を加えると3/4を越える。
しかし海外版権は前年同期にあった家庭用ゲーム「ドラゴンボール ファイターズ」や「ドラゴンボール レジェンズ」の許諾契約の反動で減収だった。海外版権売上は『ドラゴンボール』と『ワンピース』で9割近くを占める。
『ONE PIECE STAMPEDE』は商品販売事業でも先行している。劇場公開に向けたキャンペーン用ノベルティグッズの販売が好調で大幅な増収となった。売上高は11億4300万円(28.7%増)、営業利益は2200万円(前年同期は赤字)。
一方、映像制作と番組販売から構成される映像製作・販売事業は、売上高は44億700万円(13.5%減)、営業利益12億8500万円(33.1%減)と二桁減収減益と厳しかった。
利益率の高かった北米向けの配信権販売が30.6%減の大幅な減収となったのが響いた。これは前年同期に複数年契約をした反動としている。中国向けは大口の映像配信権の販売本数が増えたことから依然好調としている。
また劇場アニメ部門(35.8%増)、テレビアニメ部門(43.2%増)は制作量の拡大でいずれも大幅増収。コンテンツ部門も『ドラゴンボール超 ブロリー』のDVD/ブルーレイがヒットになり、12.4%増だった。
昨今アニメ業界では中国でのビジネス環境の変化、スマホアプリゲームの減速など、先行きに対する懸念が広がっている。しかし東映アニメーションの直近の数字で見る限りでは、引き続き業績は堅調だ。
ただし今後の環境については慎重に見通しているようだ。第1四半期の業績は、通期予想数字に対してすでに進捗率で売上高で30%、営業利益で37%に達している。通期業績予想は低めに定められている。