電子書籍事業のメディア ドゥ ホールディングスの成長が続いている。2019年4月10日に発表した同社の2019年2月期通期決算によれば、連結売上高は505億6800万円と前年比35.9%の急増だ。また営業利益は14億6800万円(57.9%増)、経常利益は14億9200万円(79.6%増)だった。
これだけ見ると好調の一言だが、当期純損益では12億4300万円のマイナスに転じた。最終赤字の理由は買収子会社や投資先保有株式で特別損失を計上したためだ。投資有価証券評価損が12億1600万円、貸倒引当金繰入額3億3700万円、のれん償却が2億6000万円。全体でややアンバランスな決算となった。
事業の成長は引き続き、電子書籍流通事業が好調のためである。売上高は499億1200万円で、売上げのほとんどをこの部門から稼ぎ出している。とりわけ2017年に同業大手の出版デジタル機構を子会社化したことが売上げを牽引する。市場占有率も高いことからメディア ドゥは今後も優位にビジネスを進めることが出来る。市場自体が急拡大していることもあり、さらなる成長も期待される。
さらに2019年3月1日付で、メディアドゥと出版デジタル機構を合併している。組織、システムの統合は今後利益率の向上にもつながりそうだ。
出版デジタル機構の買収はメディアドゥの大きな利益をもたらしたが、近年相次いだ買収・投資企業には効果が現れていないものも少なくない。
Internet Research Institute Ltd、Creatubbles、メディバン、Lunascapeの各社では、それぞれ特別損失を計上している。Lunascapeはブラウザベースの電子書籍販売を目指していたが、買収後は事業方針を転換している。マンガ情報メディアのマンガ新聞、マンガのデジタル彩色のアルトラエンタテインメント、マンガ図書館Zから一新したJコミックテラスも売上げ目標は未達だった。
業績の成長志向は今後も続き、2020年2月期も連結売上高600億円と二桁成長を見通す。しかしそこから先のさらなる成長は、メディアドゥの目指す電子書籍を軸とした事業の多角化がどこまで進むかにありそうだ。