東映アニメーション通期売上高が過去最高 商品販売や海外配信権が牽引

ファイナンス決算

 東映アニメーションの売上げが、再び過去最高を記録した。5月13日に発表された2024年3月期の通期連結決算で売上高が886億5400万円と1.4%増と小幅ながら23年3月期の記録を上回った。
 24年3月期は前年に『ONE PIECE FILM RED』や『THE FIRST SLAM DUNK』の大ヒットがあったことから、その反動で当初は前年比マイナスを見込んでいた。結果的に両作品の影響が継続し、さらに商品販売や海外配信権の好調から前年を上回ることになった。
 しかし利益面では、営業利益が233億6400万円(18.5%減)、経常利益が264億5300万円(11.2%減)、当期純利益は187億9500万円(10.1%減)とマイナスになった。期間中の『聖闘士星矢 The Beginning』の評価損計上や広告宣伝費の拡大が理由だ。為替差益を中心とした営業外収益を31億6000万円計上したが、カバーできなかった。

 事業別では、映像製作・販売事業が売上高348億2800万円(6.5%減)、営業利益が68億3200万円(36.0%減)の減収減益だ。
 劇場アニメ部門では『プリキュアオールスターズF』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が好調だったが、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』、『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』の大型ヒットのあった前年には及ばなかった。『THE FIRST SLAM DUNK』のブルーレイ・DVDを発売したコンテンツ部門は大幅増となった。

 版権事業は売上高396億7100万円(5.7%減)、営業利益が189億5600万円(9.5%減)の減収減益だ。「ワンピース」の商品化権販売が国内・海外で好調であったが、「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売や海外商品化権販売が前年に達しなかった。
 商品販売事業は『THE FIRST SLAM DUNK』の関連商品、「ワンピース」のショップ事業が好調で大幅に伸びた。売上高は106億8100万円(73.7%増)、営業利益は18億2500万円(181.8%増)の増収増益であった。

 今期(2025年3月期)の業績については、慎重な見通しになった。売上高は引き続き高い水準が続くとするが、大型劇場作品の効果がなくなることから前年比マイナスの820億円を見込む。
 また利益面でも『ドラゴンボールDAIMA』や『ガールズバンドクライ』など複数の新作の放送開始や主力作品の周年イベントのための広告宣伝費、さらに人材投資の増加などもあり、マイナスを予想する。営業利益は200億円(14.4%減)、経常利益は205億円(22.5%減)、当期純利益は150億円(20.2%減)を見込む。

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