若手で注目の櫻木優平監督が、世界の舞台に立った。世界最大規模のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭に初の長編映画『あした世界が終わるとしても』が、長編部門公式コンペティションにノミネートされたからだ。
長編部門には毎年およそ100本のエントリーがあるが、そのなかでオフィシャルコンペに選ばれるのはわずか10本。世界のアニメーション映画の選りすぐりである。受賞はもちろんだが、コンペインそのものが大きな価値がある。長編アニメーション、しかもオリジナルでの初挑戦の櫻木監督だけに快挙と言っていいだろう。
映画祭は6月10日から15日までフランス・アヌシー市で開催され、『あした世界が終わるとしても』は期間中、たびたび上映され人気となっていた。若い監督の映画、そしてアクションたっぷりのSF作品ということもあり、とりわけ若い世代の観客が多かった。
13日の朝には、映画祭のメイン会場のボンリュー・グラン・サーレ(Bonlieu Grande salle)で上映となり、櫻木監督が舞台挨拶に登場。本作で描きたかったことについて語り、観客から喝さいを浴びた。
映画祭のアーティスティック・ディレクターのマルセル・ジャン氏が自らMCを務め、櫻木監督に質問した。
監督はもともと実写映画、そしてゲームの映像を手がけ、さらに宮崎駿監督や岩井俊二監督の作品に参加するなかでアニメーションに大きく関わるようになったキャリアを紹介。
続いて「70年間戦争の起きてない国で、戦争に対する考えが希薄になっている。またいつ戦争が起きてもおかしくない状況」と現在の日本の社会状況を説明。そのうえで、では実際に戦争が起きたらどうするのかを考えたと、作品に込めた想いを語った。
最後は「初の長編映画監督作品で、権威のある賞にノミネートいただきとても光栄です」と、映画祭と観客に対する感謝の言葉で締めくくった。
映画祭では、同じく主会場に設けられたエリアでのサイン会にも参加。ファンと直接コミュニケーションも積極的にとった。今後さらに世界に羽ばたく櫻木監督にとっても、貴重な場になったのでないだろうか。